昨シーズンよりも「アルティーリらしさ」を発揮(Bリーグ・アルティーリ千葉 大塚裕土)
「そこに対するこだわりがなかったかと言えばウソになる」大塚裕土
ホーム開幕戦を快勝し、「アップテンポなオフェンスやディフェンスの仕掛けなど、昨シーズンよりもアルティーリらしさを出せた」とキャプテンの大塚裕土は変わらぬ強さを実感する。しかし、昨シーズンの圧倒的な勝率により、「何を変えたら良いかは難しいところである」と戸惑いもあった。レギュラーシーズン56勝、プレーオフを合わせて60勝したことを糧とし、「自分たちが取り組んできたことは間違いではなかったと思うので、そのスタイルをどんな相手でも貫けるようにしたい」と自信に変えた。「誰が出ても、どんな相手でも変わらず自分たちの強みを出して行くことを伸ばしていきたい」と大塚は言い、さらにバスケIQを高めて確固たる「アルティーリらしさ」を築いていく。 大塚とともにA千葉で4シーズン目を全うする杉本慶、3年目の木田貴明やブランドン・アシュリーはB2しか経験していない。開幕前に行われた天皇杯では大阪エヴェッサを破り、昨シーズンの4強の一角である名古屋ダイヤモンドドルフィンズには8点差の惜敗。B1を相手に木田は2試合とも2桁得点で活躍し、杉本もポイントガードとしてゲームをコントロールし、見劣りしない実力を示す。昨シーズンの活躍を踏まえ、B1からオファーがあってもおかしくない選手たちだが、大塚は彼らの気持ちを察する。 「実際に話したわけではないですが、アルティーリでB1に行きたい、このユニフォームで戦いたい気持ちがたぶんあると思っており、そこは尊重してくれているのではないかな。杉本選手に関しては非常に視野も広いですし、自分の生かし方も非常に分かってくれています。木田選手はスコアしたい気持ちが相当強いですが、ディフェンスで自分のメンタルを安定させることをコーチからも言われています。スコアするしないに関わらず、他のプレーでチームに貢献することにフォーカスできれば、もっともっと良いプレーヤーになる。B1のレベルも上がっているので、昇格したときに活躍できるかどうかは僕には分かりません。トップリーグで活躍するためには、プレーするための過程やアプローチが非常に大事になります。そこをアルティーリにいる間に学んでもらいたいです」 昨シーズンまではA千葉のスタメンを張ってきた大塚だが、今シーズンは開幕からベンチスタートと出番が変わった。「自分が後から出て行くことで、他のメンバーに安心感を与えられていればチームの強みになるかな」とメリットを挙げる。しかし、その心境はけっして穏やかではなかった。 「アルティーリができてからずっとスタートで出てきたので、そこに対するこだわりがなかったかと言えばウソになる。自分がチームを引っ張って、(キャプテンとしての)発信力だけではなくて、プレーヤーとしてもコートで引っ張ってB1昇格、B2優勝に向けて進んでいきたい気持ちは今でもあります。チーム内の競争で回復できるのか、コーチがどう考えているかは分からないですが、今日みたいに5分くらいの時間で3ポイントシュートを3本決めればチームに良い影響を与えられるし、まだまだできることを証明していきたいです。自分の中ではまだスッキリしていないですが、それも含めてレギュラーシーズン。プレーオフへ向けて自分の中で消化しながら、役割をまた見つけていきたいです」 レマニスヘッドコーチは「シーズンはじめは自分たちの実力が測りづらく、相手とも比較しづらい状況である」と言うように、不確定要素が多い時期に変わりない。B1から降格してきた2チームの存在が大きく、実際に戦って見なければ本当の実力も測れない。今月末には早くも富山グラウジーズをホームに迎え、最初の答え合わせとなる。大塚にとってはB1で2シーズン過ごした古巣との対戦。チーム力を上げるために、仲間たちと日々の激しい競争こそが近道でもある。
泉誠一