’19センバツ習志野 第3部・支える人たち/下 掛け声テンポ良く バトン部 /千葉
<第91回選抜高校野球> 「ナ、ラ、コー!」。放課後、習志野の校舎3階につながる階段を上ると甲高い掛け声が聞こえる。さらに上がると軽快なタンバリンの音が響く。3階奥にある広い教室のドアを開けると、紺と黄のジャージー姿の女子生徒たちがダンスの練習に励む。1、2年の女子生徒24人からなる習志野のバトン部だ。 同部はチアリーディングなどの大会に参加することはなく、活動は習志野の野球、サッカー、バレー、バスケなど各部の試合の応援が主だ。運動部が盛んなため、全国大会の応援も多い。各部の大会が続く夏には毎週のように試合の応援がある。 その応援の特徴は裏返った高音域の掛け声だ。200人を超える吹奏楽部の演奏に声が埋もれないようにするためで、部長の長谷川歩沙さん(2年)は「のどからではなく、腹から出すのがコツ」と解説する。新入部員はダンスの振り付けを覚える前に、声の出し方を学ぶのが決まり。毎年のようにのどを潰してしまう1年生がいるというが、長谷川さんは「グラウンドにいる選手に少しでも多くの声援を届けるため、大切な掛け声」と言う。 もう一つ大切にしているのが、タンバリンを使った応援だ。習志野のオリジナル曲「レッツゴー習志野」では吹奏楽部のドラム音に合わせて、腰の位置に構えたタンバリンを鳴らしながら踊る。「習志野の応援は注目度が高いので、試合後にはすぐに動画でインターネットに公開されてしまう」と長谷川さん。ダンス経験のない部員も多く、平日は毎日練習だ。派手なアクロバットなどはないが、テンポや動きがずれないよう、先輩部員が厳しく指導している。 昨年秋の県大会からは、人気アイドルグループ「嵐」のヒット曲を新しい応援曲にしたり、時間差で順番にターンする新しい振り付けを取り入れたりしている。入学式で見た吹奏楽部とバトン部の応援の一体感にひかれて入部したという長谷川さん。「甲子園では部員全員で、今までで一番、一体感のある応援を見せたい」と意気込んでいる。(この連載は秋丸生帆が担当しました)