対ロ制裁「影の船団」へ追加措置検討、中国の銀行向けも=米財務長官
[ワシントン 13日 ロイター] - イエレン米財務長官は13日、ロイターのインタビューに応じ、ロシアが石油売却において西側の制裁回避に利用している「影の船団」への追加制裁を検討中とした上で、ロシアと取引する中国の銀行への二次制裁も否定しない考えを明らかにした。ロシアの石油収入や、ウクライナでの戦争でロシアが外国の資金や資源を活用する道を一段と減らす狙いだ。 イエレン氏は、主要7カ国が現在設定しているロシア産原油の取引価格上限(1バレル=60ドル)の引き下げも視野に入れていると表明した。西側の保険会社や海運会社は、この上限を超える価格での取引への関与を禁じられている。 米財務省は既に、上限より高い価格での取引を行っている油槽船(タンカー)やその所有者に制裁を科した。しかしイエレン氏は来年1月の退任を前に、この分野でさらに踏み込んだ措置を講じられると示唆した。 イエレン氏は「(追加制裁には)多くの可能性が存在する。予告はしないが、われわれは常に(ロシアの)石油収入に目を向けており、これにもっと打撃を与える方法が見つかれば、ウクライナを有利にすると思う。そうした道はまだわれわれのリストに残っている」と説明した。 米財務省は中国側との協議を続け、ロシアの戦争努力支援とみなされる中国の金融機関の行動を探知する取り組みを進めている。 イエレン氏は、このような協議は、過去2年間で米中の経済金融分野での対話を復活させたことが追い風になったと指摘。「われわれが制裁発動可能と判断するために必要な証拠がそろえば、(中国の)個別の銀行へ制裁を科す展開を排除しない」と付け加えた。 また実際に米国側の警告は中国の大手行に対して効き目があり、彼らはドル建て取引から除外される制裁を「極度に警戒している」との見方を示した。 16日からの週には、米中金融ワーキンググループの最後の会合が開催される。 イエレン氏は、トランプ次期政権に送るメッセージとして、中国と対話できるチャンネルを開いておく重要性を強調。単に指導者レベルの会談だけでなく、バイデン政権が構築してきたような政府高官レベルでの幅広い対話を行わなければならないと訴えた。