セレッソが成功させた久保建英“封じ”とは?
北海道コンサドーレ札幌との前節では、オリヴェイラのアシストから久保が2試合連続となるゴールを決めた。つまり、FC東京のキーマンは久保であり、キリンチャレンジカップおよびコパ・アメリカに臨む森保ジャパンに大抜擢された17歳を潰せば、勝機が見えてくることになる。 「やられるよりは(結果的に)ファウルで止めたほうが、僕たちにとってはいいので。みんなも激しくチェックにいけていたと思う」 後半に入って再び久保をピッチにはいつくばらせた丸橋の言葉通りに、MF藤田直之(31)とDF松田陸(27)がはさみ込むかたちで久保の動きを止めた場面もあった。DFマティ・ヨニッチ(28)も身長187cm、体重83kgの屈強なボディを173cm、67kgの久保に激しくぶつけて弾き飛ばしている。 守備だけではない。利き足の左足に正確無比なキックを搭載する丸橋は、攻撃時も意図的に前へ、前へとポジションを取り続けた。自身の背後にリスクが生じることを覚悟でプレッシャーをかけ、久保をできるだけ自陣でプレーさせ続けた結果、久保が放ったシュートはゼロに終わった。 「かなり高い位置を取ったので彼を封じ込めた。後方にはヤス(DF木本恭生)もいたので、あまり気にすることなく前へいけた。僕的には上手くいったかな、と思っています」 故障につながる危険性も増すことを考えれば、悪意が込められたラフプレーはもちろん許されない。もっとも、一連の丸橋の言葉を振り返れば、場合によってはファウルもやむなし、と対戦相手に覚悟させるだけの危険なオーラを、すでに久保が身にまとっていることが伝わってくる。 そして、ファウル禍は国内外を問わず、エースと呼ばれる選手の誰もが直面してきた試練でもある。セレッソの術中にはまり、一時的にFWへポジションを移してフル出場しながら輝きを放てなかった久保へ、FC東京の長谷川健太監督(53)は「皆さんの見ての通りです」と、あえて厳しい評価を与えた。 「思った以上に今日は暑かった。鳥栖戦を休ませた選手もいるので、そういう選手たちがもう少し動けるのかな、と期待はしていたんですけど。なかなか最後まで足が動かなかった」 鳥栖戦とは敵地で22日に行われた、サガン鳥栖とのYBCルヴァンカップのグループリーグ最終節をさす。中2日で迎えるセレッソ戦をもにらんだ長谷川監督は、オリヴェイラや永井、そして久保ら7人を鳥栖遠征には帯同させず、練習拠点の小平グラウンドで調整を積ませた。