セレッソが成功させた久保建英“封じ”とは?
キックオフ直後という状況を考えれば、カードの類は提示しづらい。それでも池内明彦主審をして、ひと言注意しておかなければいけない、と思わせるほどの激しいプレーだった。 次に同じことをしたらイエローカード、と直前のプレーをたしなめられたのはセレッソ大阪の左サイドバック・丸橋祐介(28)。そして、死角となる背後からファウルを受け、ヤンマー-スタジアム長居のピッチにもんどり打って倒れたのは、FC東京の右サイドハーフ・久保建英(17)だった。 25日に行われた明治安田生命J1リーグ第13節。開始早々の前半9分に訪れた光景に、J1戦線で開幕から9勝3分けと唯一無敗をキープし、首位を快走するFC東京戦にかけるセレッソの覚悟が反映されていた。ポジション的に正対する久保と、何度もマッチアップした丸橋が試合後に胸中を明かした。 「前を向かせてドリブルをされると怖いし、ボールも取りにくい。ドリブルを開始される前に、ファウルになってでもいいのでしっかり止めにいこうと、試合前からみんなで話していました」 開幕戦からレギュラーを射止めた久保が試合を積み重ね、チームメイトたちと意思の疎通を図れるようになったFC東京のなかで、顕著になってきた攻撃パターンがある。 「FC東京は2トップがものすごく強烈で、彼らに気を取られている間に、その背後に生じたスペースに久保君が絡んでくる、という形が一番脅威になっている」 4月28日の対戦でFC東京に0-2で屈した、松本山雅FCのMF高橋諒(25)が試合後にもらした言葉だ。この試合ではFC東京の2トップ、ディエゴ・オリヴェイラ(28)と永井謙佑(30)が1点ずつを決めているが、前者のPKを獲得し、後者のゴールをアシストしたのが久保だった。 そして、図らずも高橋と同じ感覚を久保に覚えていたのが丸橋であり、セレッソだった。オールマイティー型のオリヴェイラと、屈指のスピードを誇る永井。絶妙の組み合わせに久保がもつ非凡なセンスとテクニックが融合されたときに、至高のハーモニーが生まれる。