難関資格は高収入なのか?国家資格のコスパ問題 (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
『資格起業バイブル(横須賀輝尚 著)』
大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書「資格起業バイブル」から、再構成してお届けします。
■難関資格が高収入のからくり
『Q.難関資格であればあるほど、高収入なのでしょうか? 同じ国家資格でも、難易度にはかなり差があると思います。やはり、弁護士や司法書士のような難関資格のほうが収入も高いのでしょうか? 比較的取りやすい資格で高収入を目指すことは不可能でしょうか?』 ご質問にお答えする前に、なぜ「難関資格は高収入」といわれるのかをお話しておきましょう。おっしゃるとおり、難関資格を取ることで高収入を期待できる時代が以前にはありました。具体的にいえば、弁護士、司法書士のような難易度が高い資格に合格すれば高収入が約束されるという、いわば古きよき時代がありました。 なぜ、このような時代が存在したかというと、「報酬規定」が存在したためです。 かつて、資格の世界では報酬規定なるものがあり、仕事の内容ごとに金額が決まっていました。そのため、資格を取って仕事を受ければ、高単価での仕事が約束されていたのです。こういった背景があったため、資格を解説する本では自然と「弁護士の平均年収2,000万円」、「司法書士の平均年収1,800万円」のように解説され、今もその流れを受け継いでいるといえます。 しかし、この方程式は崩壊しました。 時代の流れとともに報酬規定はなくなり、自由競争の時代に移り変ったのです。その結果、多くの仕事の単価が下がり、難関資格にあった「高収入の保証」はなくなってしまったのです。 加えていうならば、報酬規定がなくなったことにより、士業も営業活動に力を入れるようになり、単純に資格を取っただけでは仕事が取れず、士業も選ばれる存在になってきたといえます。