【40代・50代ご用心!「痔」はお尻の生活習慣病③】肛門科専門外来では、どんな診察&治療が行われるの?
初めての診察ではどんなことをするの?
まず初めに問診、肛門周囲の視診、次に医師の指を肛門に入れてチェックする指診を行う。なかでも重要なのは、肛門の内側の病変の有無を診る指診。肛門がキュッと締まったままだと、中の様子が見えないので、肛門鏡という器具を挿入して診察する。 「肛門鏡を使うと、肛門内の裂肛、内痔核の有無や重症度をチェックできるほか、痔瘻の『膿のトンネル』の入り口がわかるケースもあります。また、直腸内にポリープ(腫瘍)がないか、出血が起きていないかどうかも確認できます。指診の際、医師の指に血がついたときは、特に50歳以上の方は大腸がんなどの可能性が大きくなるので、大腸内視鏡検査を受けるようにすすめます」 人によっては、肛門付近に病変がなくても、直腸内に便がたくさんたまっている状態を「つらい」と感じ、「肛門が痛い」と訴えるケースもあるのだそう。そのため、痛みの原因が腸内に腫瘍や出血が起きているせいなのか、それとも便が滞留しているせいなのかをチェックするためにも、肛門の指診は欠かせないのだ。
主な治療法は?
症状の程度にもよるが、まずは保存的治療として、食生活や排便習慣の改善について指導するのが第一歩。 便秘がちな人は食物繊維が豊富な野菜を十分に摂取して、食事を抜かないことがポイントだ。ただし、不溶性食物繊維(根菜、きのこ、ブロッコリー、玄米など)に偏ると便が硬くなりやすく、出にくくなるので、とりすぎにも要注意。一方、便が緩い人は乳製品、発酵食品、果物、甘いお菓子、カフェイン、アルコールなど、便を軟化させる食品をとりすぎないように気をつけよう。 高橋先生によれば、「どちらのタイプにもおすすめなのが白米、1日2膳しっかり食べることがポイントです」とのこと。実は、白米に含まれるデンプン成分には、便の形状を安定化させる作用があるのだ! 「また、『排便は毎日あるべき』とこだわらなくても大丈夫です。かなり十分な食事をとっていなければ、毎日の排便は無理ですし、週3回程度、すっきりと排便できているのであれば問題ありません。むしろ痔を予防・改善するには、『しっかりと便意を感じてからトイレに行くこと』『便が出たらさっさとトイレから出ること』が大事です」 このように食事内容や排便習慣を改善しても、痔の症状の改善がみられない場合、あるいは苦痛を伴う症状がみられる場合は、薬を処方する。薬には注入軟膏、坐剤、内服薬がある。