餃子の王将、日高屋に“王手” 首都圏300店殴り込みへ
■「餃子の王将」東京五輪にらみ 首都圏に攻勢 関西地盤の中華料理チェーン「餃子の王将」を全国展開する王将フードサービス(本社・京都市山科区)は、今後5年で首都圏を中心に300店舗の新規出店を進めることを明らかにした。首都圏では、穴熊戦法さながらにこのエリアに特化して321店舗を布陣する中華チェーン「日高屋」が、権勢を誇る。王将側は、「日高屋」の牙城ともいえる埼玉県内の食材工場からわずか10キロほどの場所に、約50億円かけて最新鋭の食材工場を新設することを決断した。相手ののど元に“王手”を突きつけ、首都圏の覇権を目指す構えだ。 両社は、外食業界が不況に沈む中で右肩上がりの売上増を続けており、好調さが際立つ。王将フードサービスの営業利益(2014年3月期)は70億1800万円。対する日高屋の運営会社「ハイデイ日高」(本社・さいたま市大宮区)の営業利益(2014年2月期)は37億4300万円。その東西の中華料理の雄が、首都圏を舞台に本格的に激突する。 餃子の王将は6月末現在、全国で690店を展開する。その内訳を見ると、約400店が関西エリアに集中。首都圏は130店程度にとどまっている。同社では「全国1000店」を以前から目標に掲げていたが、2020年の東京オリンピックをにらみ、首都圏への攻勢を決断。これまで新規出店は年間20~40店だったが、来年から60~70店と2倍前後にペースを高め、その多くを首都圏に大量投入する。 ■日高屋の10キロ圏内に工場を構える このため来春、埼玉県東松山市にセントラルキッチンとなる工場の建設に着工。2016年春から稼働させる予定だ。この工場は、本社がある京都府の久御山工場が有する生産能力・生産管理体制を上回る規模だというから、同社の意気込みの大きさがうかがえる。しかも、東松山市は、日高屋が店舗に食材供給する工場がある行田市から、わずか10キロほどしか離れていない。まさに、相手の本丸に“王手”をかける格好だ。 王将フードサービスの広報担当者は「これまでは、知名度の高い関西での出店を先行させていたが、場所によっては飽和状態。首都圏は出店の余地が大いにある。五輪で外国人が増えることも期待できる」と鼻息を荒くする。日高屋の工場のそばに新工場を作る理由については「首都圏一帯への配送に便利で、インフラ整備されている場所といったら絞られるでしょう」と、結果的に近くなっただけと強調した。