「牛乳は10年で3割値上げ」「1000円超えのケーキ」なぜ乳製品の高騰は止まらない…?日本の酪農家が直面する「過酷な現実」
牛乳や乳製品の高騰が止まらない理由
海外の事例を参考にしながら改良を重ね、戦後ほぼ一貫して生産量を拡大してきた日本の酪農業。ところが、それがいま窮地に立たされている。 「牛乳の価格が値上がりし続けているのは、これまでの乳価では生産側の経営が成り立たなくなっているからです。日本では1980年代から円高が進み、牧草などを育てて国産の飼料を自給するよりも、安い輸入飼料に頼るスタイルが定着していきました。 農家の経費の多くは牧草や穀物、化学肥料などの輸入品ですが、世界的な気候変動やロシアによるウクライナ侵攻などで価格が高騰。さらに省力化のため『ロボット搾乳機』などが導入されてきましたが、これらの電気代や燃料価格の値上がりも経営を圧迫しています。さらにここにきての急激な円安の影響も大きい。 いま、乳価は市場最高価格になっていますが、それでもまだ足りないと苦悩する酪農家も多いのです」
生産者は急速に減り続けている
そのため、経営に行き詰まる生産者が増えている。酪農家の戸数は2010年前後を境に減少を続けており、北海道はゆるやかであるものの、都府県における事業者の廃業が著しいという。 「現在、酪農の就業者数は、国内では約1万2000戸しかいません。米農家が71万戸(個人、法人合わせて)と考えると、その少なさがよく分かると思います。この人たちだけで、国内の乳製品をすべて支えているんです。 都府県の事業者はこの15~20年で急速に減ってしまいましたが、理由としては後継ぎがいないことが一番大きい。基本的に家族経営が多いので、お子さんが跡を継がない場合は自然と離農することになる。都市部に近い場所だと、牛舎や機械を新調しても、その投資に見合うリターンが確保できないとして諦めざるを得ないことも多いんです。また近隣住民へのフンの匂いなどの問題もありますね。 こうして生産量がどんどん縮小しているため、北海道の酪農家が規模拡大をすることでいまは何とか量を確保している状態です」
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