【七草粥の豆知識】今さら聞けない…年末年始の暴飲暴食で疲れた胃腸を労わる「七草粥」の意味と効能
日本には季節毎にさまざまな行事がありますが、お正月明けの1/7に七草粥を食べているという人も多いのではないでしょうか?そこで、今回は管理栄養士的視点から、この時期に七草粥を食べる意味についてご紹介します。 <写真>【七草粥の豆知識】今さら聞けない…年末年始の暴飲暴食で疲れた胃腸を労わる「七草粥」の意味と効能 ■七草粥とは 毎年、1/7に1年の無病息災と願い、早春に芽吹き邪気を払ってくれるとも呼ばれる七草を使用した七草粥を食べることが習慣化されている人も多いのではないでしょうか?また、近年では、ちょうど年末年始のご馳走で胃腸が疲れたタイミングでもあるため、豪華な食事で疲れた胃腸を労わるという意味合いが込められています。 ■七草の意味とは ■■せり 競り勝つという意味も込められています。せりは、美肌作りやストレス対策にも力を発揮するビタミンCや貧血予防や造血作用が期待できる鉄分・葉酸、皮膚や粘膜、髪の毛の健康のサポーターになるβ-カロテン、便秘改善が期待できる食物繊維などが豊富に含まれています。 ■■なずな 撫でて清めるという意味が含まれています。なずなは、ナトリウムの排出を促し、利尿作用やむくみ予防が期待できるカリウムや美肌作りと風邪予防を期待できるビタミンC、カルシウムの吸収をサポートすることで骨粗鬆症予防を期待できるビタミンKを豊富に含んでいます。 ■■はこべ 漢字で「繁縷」と書き、繁栄がはびこるという意味があります。皮膚や粘膜、髪の毛の健康維持のビタミンAや代謝の働きには欠かせないミネラル、止血作用や抗酸化作用が期待できるクマリン、脂肪蓄積予防や血流改善、免疫力アップが期待できるサポニンなどが含まれています。 ■■すずな(かぶ) 神を呼ぶ鈴の意味があります。根の部分の葉の部分も両方使用できます。根の部分にはでんぷん(炭水化物)消化酵素であるアミラーゼが含まれているため、消化の負担を減らすことで疲れた胃を休ませてくれます。葉の部分には、貧血予防と骨粗鬆症予防が期待できる鉄分や便秘改善が期待できます。 ■■すずしろ(だいこん) 汚れのない潔白という意味があります。でんぷん(炭水化物)分解酵素のジアスターゼや脂質分解酵素のリパーゼ、たんぱく質分解酵素のプロテアーゼなどさまざまな酵素を含んでいるのが特徴であり、胃腸の消化の働きをサポートしてくれます。他にも、抗酸化作用の高いビタミンCや便秘改善が期待できる食物繊維も豊富に含まれています。 ■■ほとけのざ 仏の安座という意味があります。体の材料でもあるたんぱく質や不足しがちだけど代謝には欠かせないミネラルを豊富に含んでいます。胃腸の働きをサポートしたり、高血圧を予防したり、食欲を増進したりすることも期待できます。 ■■ごぎょう 漢字で「御形」と書き、仏体という意味があります。ほとけのざと同じくたんぱく質とミネラルが豊富に含まれています。キク科の植物であり、咳や痰・喉の痛みを軽減してくれることが期待できると言われています。 ■七草粥が腸のリセットにおすすめ理由 ■■胃腸を休められる 温かいお粥は消化によく、温かい状態で食べるため、胃腸を温めてくれる作用があります。加えて、七草の中には消化酵素や食物繊維などが豊富に含まれているため、年末年始で疲れた胃腸を休ませることも期待できます。 ■■ビタミン・ミネラルが豊富 ビタミン・ミネラルは、体の代謝をサポートするために欠かすことができない栄養素でありますが、現代人が不足しがちなものでもあります。また、特に冬は、野菜が不足しがちになる時期でもあるため、ビタミン・ミネラルが不足しがちです。そのため、七草粥を食べることで、ビタミンA・Cなどのビタミン、鉄分・カルシウムなどのミネラルの補給も期待できます。 ■七草はお粥以外でも楽しめる? 一般的な七草粥と言えば、塩をメインとした味付けをイメージする人が多いはず。しかし、お粥が苦手な人も多いということで、最近では工夫していろいろな食べ方をする人も多いようです。鶏ガラを使用して中華風のお粥にしたり、リゾットにしたりすることで、食べやすくなる人もいるかもしれません。また、変わり種としてはライスミルクを使用してスムージーにして取り入れるというのもよいでしょう。 ■七草粥でスッキリとした新年をスタートしてみませんか? 七草粥は、正月の疲れた胃腸をリセットするために食べるのがおすすめです。定番七草粥もですが、今まで苦手に感じていた人はちょっとアレンジして楽しんでみるのもいかがでしょうか。 【参考文献】 文部科学省 | 日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年 厚生労働省|e-ヘルスネット 厚生労働省|食生活改善指導担当者テキスト 農林水産省|「七草がゆ」とは? ライター/管理栄養士 亀崎智子 管理栄養士×セラピスト(野菜ソムリエ・中級食品診断士 )。食に関する講演や記事執筆・監修、体の本来の機能を取り戻すお手伝いをする整体のセラピストとして、家族丸ごと体の内と外にゆとりをつくるサポートを行っている。また、満月の日に、乾物と塩で作るふりかけと即席スープの素の製造販売も行っています。インスタグラム:kamegohan0528
NS Labo(栄養サポート研究所)