「日本酒発祥の地」で酒米の品種を初めて育成 オリジナル清酒を販売へ
奈良県は、酒米の新品種「なら酒1504」を育成したと発表した。奈良は「清酒発祥の地」として知られるが、これまで県が育成した酒米品種はなく、今回が初めて。今後、県オリジナルの清酒を販売し、生産の拡大を図る考えだ。 県内で栽培されている主な酒米の品種は兵庫県育成の「山田錦」や愛知県育成の「露葉風」で、栽培地は中山間地域が中心となっている。 こうした中、奈良県酒造組合が県独自の品種を使用した清酒を製造したいと要望し、平成24年から県農業研究開発センターで育成を開始。令和3年には現地栽培試験や醸造適正試験を始め、今年4月に農林水産省に「なら酒1504」の品種登録を出願した。 「なら酒1504」は平坦地域での栽培適性が高い上、他品種と比べて草丈が低いために倒れにくい。この酒米で醸造された酒はすっきりとした味わいが特徴。県の事業として今年度は斑鳩町と田原本町、広陵町に計約6ヘクタールの実証圃を設けて栽培した。今後、同組合に加入する13事業者が醸造を予定している。 奈良県では、室町時代に僧侶らによって現在の醸造につながる技術が確立された正暦寺(奈良市)が「清酒発祥の地」とされる。さらに、県内には魅力的な酒蔵も多い。 山下真知事は「清酒発祥の地とされる奈良で栽培した酒米を使い、昔からの酒蔵で造った日本酒というストーリーが受けると思う。奈良酒のシェアを拡大したい」と話した。