美人とドラマ、大塚家具問題が残したメディア報道の課題
総会が終わると報道も終わった
メディアが反省しなければならないのは、こうした情緒的な面にどうしても流されてしまうことである。そして同族会社のマイナス面ばかりをことさらに強調し、日本の企業の大半は同族経営であって、その多くがまともな経営を行っていることに言及しない点も問題だ。大塚家具問題の本質が、上場会社でありながらガバナンス(企業統治)に重大な欠陥を抱えていたことや、事業承継の失敗にあることをしっかりと指摘したメディアは少なかった。
報道ぶりにしても、「一企業の内紛」という見方を崩さず、比較的冷静に報じた新聞も一部にあったが、世の中のワイドショー的な関心の盛り上がりとともに、それにあわせる形で一般紙・テレビを含めた報道の扱いはどんどん大きくなっていった。
もう一ついえば、大塚家具の問題で重要なのは、これからこの会社が崩れたブランドイメージをどのようにして回復してゆくかである。見えない企業価値低下の影響は、今後もじわじわと出てくる可能性がある。株主総会が終わってぴたりと報道がやんでしまうのはいかにも一過性で無責任な感じがする。事後のフォローも含めた報道を期待したいものである。 (3Nアソシエイツ)