刃物で刺され、つぶれた肺で呼吸もできないなか、助けを求めて叫んだ・・・息子を奪われた家族を襲った『誹謗中傷の二次被害』立ち向かう力はどこからー”それはただただ支援です”
現場に駆けつけた父「将太、将太・・・将太!!」取り乱す母「何があったのよ!!」
父・敏さんが駆けつけた時には、すでに将太さんは意識がなく、何度名前を呼んでも返事がありませんでした。 (堤敏さん)「うつぶせている将太の肩に手をあて、ゆすっても反応はありませんでした。名前を呼ぶ声は次第に大きくなって最後は叫ぶように、「将太!将太!」と呼んでいました。」 後から母親が駆けつけた時には、すでに現場には大勢の人が。倒れている息子と叫ぶ夫を見て取り乱し、「何があったのよ、何があったのよ」とすがるように掴みかかって叫んでいたといいます。 (堤敏さん)「交差点を大勢の人が囲んで、たくさんの警察車両が周りを取り囲んで止まっていて、騒然として、警察車両の赤色灯があたり一面すべてを照らして浮き上がらせて、異様な雰囲気でした。」
「脳波が出ない。心臓マッサージとめてもいいでしょうか」
医師による懸命な救命処置を受けながら、病院に搬送された将太さん、目を覚ますことはありませんでした。家族は医師から処置室に呼ばれ、こう言われました。 「脳波が出ないんです、反応してないんです。これで心臓マッサージとめてもいいでしょうか」 (堤敏さん)「私は、とっさに、医師に向かって、「続けてくださいよ」「なんでなんですか」、そんな言葉が出たんですけど、その時に次女が、声を詰まらせながら『お父さん、将太もう休ませてあげて、寝かせてあげて、頑張ったんやから。この子、すごい頑張ったんやから』泣きながらそういいました。その後のことは、あんまり記憶がないんです。」 その日は司法解剖のため、将太さんを病院に残し、家族は家に帰りました。 (堤敏さん)「家内と子供たちのすすり泣く声だけが聞こえていました。私は、感情が抜け落ちたかのようになって、本当に時間が止まってしまったかのように、呆然としてしまって、怒れない。泣けない、涙も出てこない。どう受け止めていいかわからない。なにがおこっているのか、なにもかもがまったくわからない、そんな状態で朝を迎えました。」