「高い視点と深い理解」 早世の数学者の志、次世代へ
算数に秀でた小中学生が思考力を競う「算数オリンピック」に、過去の大会で活躍し31歳で早世した数学者・長尾健太郎さんの名を冠した「長尾賞」が創設されてから今年で10年。長尾さんの才覚を見いだした数学者ピーター・フランクルさん(71)は取材に対し「(長尾さんの解答は)誰よりも高い視点からの深い理解に基づいていた」と述懐した。 フランクルさんは大会会長を務めており、次世代の子どもに向けては「算数をきっかけに学問への関心を深めてほしい」と呼びかけた。 算数オリンピックは1992年、世界的数学者の広中平祐氏らが提唱して開始。長尾さんは15歳で判明したがんと闘病しながら数学者の道に進み、名古屋大大学院助教だった2013年に亡くなった。長尾賞は翌年に設けられ、小学1~3年を対象とする種目の成績最優秀者に授与される。 今年の大会は、5種目に計約5800人が挑んだ。長尾賞を受賞した京都府の小学3年西川哲史さん(9)はそろばんと英語が得意で「将来は宇宙飛行士になりたい」と夢を語った。