ガンプラ日本大会「GBWC 12th」決勝戦レポート
BANDAI SPIRITSは12月14日、ガンプラの公式世界大会「GUNPLA BUILDERS WORLD CUP 12th TOURNAMENT」(GBWC)の日本大会決勝戦をガンダムベース東京にて開催した。 【画像】今年のGBWC日本ファイナリスト30名。全員には記念の盾が、各コース上位3名にはトロフィーが贈られた 今年も「U-14(14歳以下)」、「U-20(20歳以下)」、「OVER-21(21歳以上)」の3つの年齢別コースを設け、5月から8月までのエントリー期間に、世界16の国や地域から参加者を募集し、10月に予選を実施。同社審査員による厳正なる審査のもと、日本からは2次予選を勝ち抜いた各コースのファイナリストが10名ずつ、この決勝戦へと進出した。今年は2月21日~24日に新宿で行われる「GUNDAM NEXT FUTURE FINAL TOKYO」での世界大会決勝戦・表彰式を行う関係で、この日本大会決勝戦は12月に行われることとなった。本稿ではこの決勝戦の模様をレポートする。 ■ AUDIENCE賞2024 各コースの入賞作品発表前に、11月18日~12月8日まで募集した一般ユーザーからの投票で人気ナンバー1となった各コースの「AUDIENCE賞」が発表となった。 ※表記は全て[作品名/製作者(敬称略)/使用キット] ■ U-14コース 続いては各コースの入賞者が発表。入賞作品は大会審査員のBANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部 清宮僚太氏、染谷潤氏、栗原直也氏がトロフィーの授与と作品評を行った。 U-14コース第3位は、nanaさん製作の「最前線」。作品製作では比較的人気のある戦場をモチーフとし、他の作品とどう差別化をするかが腕の見せ所で、タイトルの「最前線」の通り緊張感のある表現に加え、排莢や水たまりなど細かなところまで作り込んでいる点が評価された。 U-14コース第2位はじゃぶちさん製作の「次の機体へ…」。シンプルな構成ながら、ぱっと見たときに物語が伝わってくるのがポイントで、量産品であるガンプラの仕上げ方一つで、これほどの差が出るのかという表現に審査員一同が感銘を受けたという。 U-14コースチャンピオンはゆわっしーさん製作の「『友へ…』」。「PGのデュエルガンダムってあったっけ?」と審査員も困惑した、PGストライクルージュからの改造機体の仕上げのクオリティを讃え、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のイザークのこのシーンが見たかったという製作者の思いが伝わってきたことに感動したとの評。 ■ U-20コース U-20コース第3位はトモハックさん製作の「奴だ、奴が来たんだ」。誰もが知るシャア専用ズゴックがジムを貫くシーンで、あえてその瞬間ではなく、ジムが爆発したあとを切り取っていて、審査員が連邦軍の兵士のような気持ちになったという作品で、ジオラマの水やオイルの表現の解像度が高かった点も評価に繋がった。 U-20コース第2位はkoseiさん製作の「帰還」。動いているものと柔らかいものという表現が難しい素材を見事に形にしていて、着艦時のリック・ドムが見ているほうに迫ってくるような圧まで表現していて、その表現力の高さが評価された受賞となった。 U-20コースチャンピオンは、彦夏さん製作の「Beyond・The・AXIZ」。サザビーといえばこのシーンという定番のジオラマで、ある意味難しいテーマではあるものの、機体の丁寧な工作に加え、格納庫の完成度や光の演出が素晴らしく、格納庫のドアを少し開けて外から光が入るようにするなど、総合的な演出が高く評価されチャンピオンに選ばれた。 ■ OVER-21コース OVER-21コース第3位は、森田秀幸さん製作の「ストライクガンダム Spec II 強制起動」。爆炎の中で起動したストライクガンダム Spec IIのジオラマは、一体これからどんな物語が始まるのか、そんなパイロットが乗っているのかといった想像力をかき立てられる作品だと審査員は評している。 OVER-21コース第2位は、蚊鳥さん製作の「海物(かいぶつ)」。とにかくたくさんのガンプラのパーツを使って構築しているのにもかかわらず、ゴテ盛りにならずシンプルかつ整ったシルエットで、見覚えがあるようで見たことがないまったく新しいモビルスーツとして審査員を驚かす作品となった。 OVER-21コースチャンピオンは、FAグリーンさん製作の「Regeneration」。作品を遠くから見たときでも引きつけられる魅力を持ち、近づいて見てみると「ここにこのパーツを使っているのか」という見立ての巧さに感心させられたとの評。背面の月光蝶も、塗装の美しさに加えて、歴代のいろいろなガンダムの意匠を盛り込み、ガンダムシリーズの歴史の重厚さを内包したような奥深い表現をしている点が第1位に輝く要因となった。 ■ 各コースチャンピオンの作品と製作者コメント ここからは各コースチャンピオンの作品と、作品に対する製作者のコメントをお届けする。なお各コースチャンピオンの作品は、2月上旬までガンダムベース東京に展示されることとなっている。世界の強豪と戦うことになる日本代表の作品をぜひその目で見ていただきたい。 ゆわっしーさん(U-14コース チャンピオン)「去年からずっと考えていた作品で、賞をもらえて嬉しいです」 ゆわっしーさんはイザークの大ファンで、昨年もイザークを主役にした作品で第3位を獲得している。ベースとしたキットのPGストライクルージュは、昨年のクリスマスプレゼントで、それをデュエルガンダムに大改造する作業を行っている。各所のディテールは全て自分で調べ、顔や膝の改造にはとくに苦労していて、見てほしい点でもあるそうだ。 彦夏さん(U-20コース チャンピオン)「前回2位という悔しい結果となって、今回は絶対に優勝をしてやるという気持ちで1年間頑張って作ってきた結果が実って本当によかったです」 使っているガンプラはMGサザビーのみだが、見えない部分まで手を抜かずに作り込んでいることを強調。格納庫の電飾を明るすぎず暗すぎず、青みがかった色に設定したこともこだわりのポイントだとか。タイトルはTM NETWORKの「BEYOND THE TIME」にあやかり、アクシズの向こう側にあるシャアが目指す世界にサザビーで出撃するイメージで付けたそうだ。 FAグリーンさん(OVER-21コースチャンピオン)「自分の好きなモビルスーツで賞をいただくことができてとても嬉しいです」 メインとなるMG ターンXを筆頭に、数えてわかるだけで40~50種類のキットのパーツを使って製作した作品で、ターンXが自己再生を繰り返し形が変わって新しい姿に生まれ変わった姿を表現。「Regeneration」というタイトルにもその意味が込められている。全体の大きさで迫力を見せつつ、月光蝶には曲面のパーツを使用して羽の柔らかさを表現し、虹色に輝く塗装にも強くこだわって製作している。 (C)創通・サンライズ
HOBBY Watch,稲元徹也