企業の休廃業・解散、4年ぶり急増 2023年は5万9105件、前年比10%増 「あきらめ廃業」広がり懸念
黒字での「休廃業」割合、過去最低51.9%
2023年に全国で休業・廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む、以下「休廃業」)は5万9105件となった。年間で4.03%の企業が市場から退出・消滅した計算になる。23年初旬まで減少傾向が続いた休廃業は夏以降に急増し、16年以降で最少だった22年(5万3426件)からは10.6%の急増となったほか、4年ぶりに前年を上回った。 休廃業した企業の雇用(正社員)は少なくとも累計7万8053人に及び、前年(8万2053人)から4000人減少した。全ての雇用機会が消失したものではないが、約8万人が転退職を迫られた計算となる。消失した売上高は合計2兆8424億円に上った。 2023年に休廃業した企業のうち、「資産超過型休廃業」は62.3%を占めた。また、休廃業する直前期の決算で当期純損益が「黒字」だった割合は51.9%となり、半数超が黒字休廃業だったものの、その割合は過去最低を更新した。この結果、「資産超過」かつ「黒字」状態での休廃業が判明した企業の割合は全体の16.1%となり、16年以降で最も高かったコロナ禍直後の20年(17.0%)に次いで過去5年間で2番目に高い水準だった。総じて23年の休廃業動向は、特に直近の損益が大幅に悪化した企業が多い点が特徴となる。
2023年の休廃業動向は、前年から3割超の急増が見込まれる企業倒産(法的整理)とともに増加した。休廃業はこれまで、持続化給付金や雇用調整助成金など「給付」による手厚い資金繰り支援が功を奏し、コロナ禍の厳しい経営環境下でも抑制された水準で推移してきた。 しかし、2023年に入りこれらの支援策は徐々に縮小されたことに加え、電気代などエネルギー価格をはじめとした物価高、人手不足問題やそれに伴う人件費負担の増加など四重・五重の経営問題が押し寄せた。収益面・財務面で傷ついた中小企業では先送りしてきた「事業継続か否か」の決断を迫られ、さらなる経営悪化に陥る前にやむなく会社を畳んだ「あきらめ廃業」を余儀なくされた中小企業が多く発生した可能性がある。