スターダム八神蘭奈 メタルバンドのドラマーからレスラーに転身。チャンスの夏がやってきた!
5月には上谷沙弥とともにwave参戦「スターダムの新人は強いんだぞというのを見せたかった」
それでも、朱里の勧誘から、朱里が所属するスターダムに入門、練習生となった。直前まで魔界出演、バンド活動を続けていたこともあり、厳しい練習から筋肉痛と格闘する毎日を送るようになった。が、昨年12・25品川でデビュー。自分から望む形で朱里との対戦が実現し、朱里率いるユニット、ゴッズアイへの加入も自然な流れだった。 「デビューまでとにかく必死でした。が、デビュー戦が終わって天井を見上げたときに、プロレス楽しい!と思ったんですよね。こんな気持ちになるなんて、正直ビックリでした」 が、その後も必死な毎日が続いた。2戦目が両国国技館で、3戦目に横浜武道館で新人王決定トーナメント。ビッグマッチが続き、年明けから地方巡業に出発。落ち着ける時間は皆無に等しかった。 「毎日必死でした。フューチャー王者の吏南さんから『八神は試合をこなしているだけ』と言われて、ホントにその通りでしたね。ただ、4・27横浜BUNTAIのこけら落とし試合をさせていただいたり、5・12後楽園で同期の玖麗さやかから初勝利を挙げたり、そのくらいから、勝ちたい、結果を出したい、こういう試合をやりたいなど、テーマを持って試合に臨めるようになっていったと思います。最初の頃は声も出ないし感情も見えにくいと言われてたけど、MIRAI(現マリーゴールド)さんとのゴッズアイ同門対決を機にだんだん試合に感情も乗せられるようになって、プロレスが楽しくなっていきました」 5月には上谷沙弥とともにwave参戦。上谷は「Catch the WAVE」本戦で八神は若手リーグの違いはあったが、別ユニットの上谷の試合でセコンドにつくことで、スターダムを背負って闘う姿に感銘を受けた。それが自身の試合にも好影響を及ぼし、他団体の同世代にも負けない結果を残したのである。 「キャリアはなくても試合は一番多い。これが自信となって、リーグ戦は自分が引っ張っていくというか、ガツガツやっていかないといけないと第1戦から思いました。生意気ですけど、スターダムの新人は強いんだぞというのを見せたかった。一つひとつの技に気迫を込めて出せるようにしていきました」 ブロック1位が認められ、吏南の保持するフューチャー王座に初挑戦。デビューからずっとほしかったベルトだが、アピールするする勇気がなかった。が、他団体で一定の成果を出し、王者も認めた。しかもタイトル戦は、札幌2連戦初日7・27のセミファイナルで実現。ビッグマッチ仕様の大会でセミとは、大抜擢と言っていい。 「そこはあまり意識しすぎないよう、いつも通りに迎えようと思っていたんですけど、入場前の煽りVTRが流れたときに、さすがに実感しましたね。こういう大会だと自分は第0試合が多くて、同期の中でもベルトに挑戦するのが遅かったので、がんばらなきゃと思うと同時に、緊張もしました」 試合には敗れ、初のベルトには届かなかった。それでも、八神の夏は終わらない。ゴッズアイ同門・壮麗亜美の代打として、「5★STAR GP」への参戦が待っている。彼女の世代では一番乗りだ。 「応援の言葉もあるけど、否定的な言葉もあります。ラッキー枠だとも言われるし(苦笑)。でも、これから上にいくためにはこういうことも必要かなとも思います。ふつうでは絶対に味わえない経験をこの夏させてもらうので、うまく利用できたら。なので、大変だとは思うんですけど、今年の夏を乗り越えたら、八神はもっと強くなっちゃうんじゃないって思いますね(笑)」 空手仕込みの蹴りをベースにしつつ、朱里からは「蹴りだけの選手になってほしくない。グラウンドも含めプロレス技もきちんとできる選手になってほしい」とのアドバイスも受けている。 「同期の弓月(現マリーゴールド)なんか120点出せちゃうタイプなんだけど、これまでの自分はずっと60点から80点あたりだったんですよね。それがコンプレックスでもあり課題でもありました。なので、waveさんに出させていただくときも、どうして自分なのかわからなくて。でも、リーグ戦終わってから社長に話したんですけど、そんな私だから適任だったと」 他団体のリーグ戦参戦は、殻を破るきっかけづくりでもあったのだろう。だからこそ、その流れを止めないためのホームでのリーグ戦でもある。朱里のスタイルを手本としながら、彼女なりのスタイルを構築していけるか。同期のHANAKOはアメリカ武者修行の旅に出た。八神は国内、スターダムの本場所で揉まれ、さらなる経験値を積んでいく。 インタビュアー:新井宏
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