ユアサ商事・山善…機械・工具商社8社の通期予想、全社増収も力強さ欠く要因
工作機械事業足踏み
機械・工具商社8社の2025年3月期連結業績予想は、全社が増収、営業増益を見込む。ただ設備投資需要は力強さを欠き、大きな商材である工作機械事業は足踏み状態にある。24年10月―25年3月期にかけても大幅な回復は難しく、人件費や材料費上昇などのコストアップ要因を吸収するための付加価値提案が一層強く求められる。 ユアサ商事の工作機械事業の売上高は、24年4―9月期が自動車業界向けの不振などで前年同期比15%減となり、業績の足を引っ張った。 今後の工作機械事業について田村博之社長は、「電気自動車(EV)シフトするのか揺れる自動車業界の方向性に左右される。また中小企業向けの設備投資も回復は25年春以降になる」と見通す。 山善も自動車メーカーの生産停止の影響などを受け、24年4―9月期の工作機械などの生産財の売上高が前年同期を下回った。「設備投資は下期も不透明な状況が続く」(同社)として、25年3月期の売上高と営業・経常利益を下方修正した。 機械の動力伝達部品などを扱う椿本興業は、24年4―9月期の受注高が4―9月期で過去最高を記録。主力の中国市場で厳しい状況が続くが、「米国や欧州の自動車業界のトレンドがEVだけではなくなっており、今後の受注に期待したい」(春日部博取締役)とする。 「収益性、成長性を高めるため、大事なのは新しい価値を作ることだ」。ユアサ商事の田村社長はこう強調する。各社には自動化・省人化・脱炭素といった社会ニーズに対応し、物流業界や食品業界の開拓、インドなど新興国向け海外事業で攻めの姿勢がより重要となる。