クラーク記念国際の金原颯 不振を救った兄弟愛 選抜高校野球
第94回選抜高校野球大会に出場するクラーク記念国際(北海道)には、甲子園を目指して同校で白球を追い、これからも追うことになる金原兄弟がいる。名前は次男から順に「瑶」「塁」「颯」「律」。今大会には3番目の挑戦者にして、四男の颯(3年)が甲子園に臨む。ベンチ入りをつかみ取る原動力となった颯の打撃は、兄弟愛が生み出したものだった。 【過去には小芝風花さんも】センバツ応援イメージキャラクター 昨夏、颯はパニックを起こしていた。自分のスイングが「さっぱり分からなくなった」。ボールに当たらない。当たっても飛ばない。窮地で頼ったのは、クラーク記念国際のOBで今春から社会人野球のロキテクノ富山に入る次男・瑶だった。 颯が無料通信アプリ「LINE(ライン)」で素振りの動画を送り、相談すると「正面と、後ろから撮影した動画を送れ」と瑶から返信があった。すぐに送り返した。 同じ左打者の瑶はすぐにピンときた。同じくクラーク記念国際の2年生だった2016年に、自分も苦しんだ症状だったからだ。右足を踏み込む時につま先が投手方向を向くため、スイングの軌道が乱れていた。過去の経験を基に「(ボールをトスしてもらうのが)真横からと、後ろからのティー打撃をやるんだ。そうすれば、体が開かなくなる」とアドバイスした。 颯は2学年上で、大商大で野球を続ける三男・塁にも助けを求め、同様のアドバイスをもらっていた。いざ、試してみると、あっという間に改善した。新チームではレギュラーとして昨秋の公式戦で5割近い打率を残し、北海道大会優勝に大きく貢献した。 颯も塁もクラーク記念国際に入部したのは、16年夏の甲子園で瑶が躍動する姿を目の当たりにしたからだった。塁は3年生だった20年夏、新型コロナウイルス流行のため甲子園が中止になった。それでも北北海道の独自大会で優勝し、意地を見せた。颯も「兄(塁)の代わりに甲子園の土を踏みたい気持ちは強い」と力を込める。この春には五男の律も兄たちの背中を追いかけるようにクラーク記念国際に入学する。 愛知東邦大に在籍する瑶は、昨秋の北海道大会決勝をはるばる愛知県から観戦に訪れた。瑶は「(兄弟は)めちゃくちゃ仲が良い。颯に甲子園(に出場後)のご褒美にバットをプレゼントするのを約束しました」と相好を崩す。 「自分を救ってくれた兄たちには本当に感謝している。お礼の意味も含めて精いっぱいのプレーをしたい」と颯。兄弟への思いを乗せて、夢の舞台でバットを振るつもりだ。【岸本悠】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。