【パラリンピック2024】車いすテニス・上地結衣が練習時間を大幅に短縮した理由
練習時間を2時間短縮した、自身最大のテニス大改革
常に成長と変化を追い求める上地選手にとって、特にこの1年は変化の連続だった。 「2020年に長年一緒にやってきたコーチから離れ、多くのコーチと関わるようになりました。その中で学んだことを自分の中で取捨選択していって、練習方法を見直しています。これまでの練習時間は一日5時間でしたが、今は3時間に短縮して、基礎練習中心の内容から、相手とのラリーの中で展開を作っていく、より実践的な練習を多めにしました」 今まで続けてきた方法から、大幅な改革を起こした中で発見があったという。 「練習時間が短くなったことによって、プレーの質が落ちるんじゃないかって不安もあったんですが、結果として大会での感覚は今までと変わらずにいられました。ということは、練習時間に費やしていたものを、コート外のウェイトトレーニングだったり、試合のビデオを観て研究する時間にあてることができるようになったんです。 これまでは、あまり他の選手の試合のビデオを観る機会がなくて、特に健常選手の試合はほとんど研究していなかったんですが、最近はゲームの展開の仕方など参考にするようにしています。今はまさにステップアップの真っ最中。この試行錯誤がとても楽しいです」
パリの目標はもちろん金、でも、この瞬間もワクワクしたい
自身4度目のパラリンピックとなる、パリ大会。目標は明確だが、目標にこだわり過ぎていないという。 「初出場だったロンドン大会から着実に成績は上がってきて、残すところは一つ、やっぱり金メダルです。もちろんパリ大会のシングルスで金メダルを取りたいって気持ちはあるけど、今は練習方法だったり、競技用の車いすを変えながら、新しいことにチャレンジしている最中で、大会に向かっているこの時間が最高に楽しいです。 もう20年近くテニスをやっているけど、まだまだ技術的にも強くなれる部分があるなって感じていて。本番はもちろん勝ちにこだわると思うけど、今は純粋にプレーしているのが楽しいし、どうやって勝っていこうかって追求できるのが心地いいんですよね。楽しみながら本番までの時間を過ごしつつ、結果を残せたらいいなと思います」