【パラリンピック2024】車いすテニス・上地結衣が練習時間を大幅に短縮した理由
身長143cm。世界では小柄な日本人の中でも小さな体格だが、相棒である競技用車椅子に乗りラケットを手にすると、ひときわ大きな存在感を放つ。女子車いすテニスの上地結衣選手だ。 【動画】Q&Aに回答!上地結衣選手が高校卒業後に真剣に考えた、なりたかった意外な職業とは? 史上最年少14歳で日本ランキング1位、21歳の時にはテニス4大大会制覇のグランドスラムを達成。輝かしい功績の数々は、身長のハンデを微塵も感じさせないプレーで、世界の強者たちを圧倒して獲得してきた。今年のパリ大会で4度目のパラリンピックとなる彼女の強さの理由に迫る。
フラットに戦いたい、叶えてくれた競技がテニスだった
上地選手とテニスの出会いは、10歳の時。スポーツが大好きで座って勉強しているよりも体育の時間が一番好きだった彼女は、姉の影響でテニスを始めた(「」上地選手)。 「小さい頃は、姉がやっているものは何でもやりたがる子でしたから、自然とテニスもやってみたくなりました」。 先天性の潜在性二分脊椎症という、下肢運動障害などが生じる病気を抱え、3歳からリハビリをしてきた。 「テニスを始める前は両親がバスケ経験者というのもあって、車いすバスケをしていました。大人に交じりながらやっていたので、身長の小さい私に特別ルールを作ってくれて練習していたんですが、それが悔しくて(笑)。特別扱いされずにみんなと同じようにフラットに戦いたかったんですよね。テニスなら、ネットを挟んで対等に戦える。だから楽しくて自然と練習量も増えていきました。 はじめは大会に出る気は全然なかったけど、競技志向の高いクラブチームだったから、半ば強制的に大会にエントリーされて(笑)。その時に、テニスの師匠と『2ゲームは絶対に取る』って約束したんです。結果は、1ゲームは取れたけど、試合には負けてしまって悔しい気持ちが残りました。それをきっかけに、『次はあの人に勝ちたい!』とか、『もっと強くなりたい!』と勝負にこだわりを持つようになりました」 負けず嫌いな彼女の闘争心に火がついた瞬間だった。それからの中学時代は、学校終わりに夜9時まで練習をこなし、週末は朝昼夜の三部練習。テニスに明け暮れる中でめきめきと実力を伸ばし、14歳の時には、史上最年少で日本ランキング1位までのぼりつめたのだ。