「松本人志は今からでも会見をした方がいい」 危機管理コンサルタントが断言する理由
「ステークホルダーへの説明を怠らない」というセオリー
また、この初期段階で一度記者会見をしたほうがよかったと思います。裁判で争っている以上、会見をしても話せない、という考えがあったようですが、それでも可能な範囲で説明をしたり、謝罪をしたりすることは可能だったのではないでしょうか。 「悪いことはやっていない。なぜ謝らなければならないのだ」とご本人やファンの方は思われるかと思います。 しかしインタビュー記事の冒頭で松本さんは、今回の件で多くの人、関係者にストレスを与え、迷惑をかけたことについて「申し訳ない」と語っています。報道内容の事実関係については言及せずとも、そうした気持ちを丁寧に語ったほうが空気を変えることにつながったのではないでしょうか。言葉で空気を変えるプロなのですから。 松本さんほどの能力を持っていらっしゃるならば、記者会見を自分のプラスになるように利用、活用することは可能なはずです。 松本さんは、いま会見をしたところで、疑惑について語れるわけではなく、あまり意味がないという考えをお持ちのようです。しかし少なくとも「申し訳ない」という気持ちを伝えるには、顔を出しての記者会見は有効であると思います。 何を言っても聞いてもらえない、あるいはいいようにメディアに利用されるだけだ、といったお気持ちがあるのかもしれません。しかし、そういう場を「申し訳ない」気持ちを広く世間に伝える格好の場だと前向きに考えてみてもいいのではないでしょうか。 これもセオリーの話になりますが、「再生」を失敗するパターンの一つが「取引先などのステークホルダーへの情報提供を怠ってしまう」というものです。再生を焦るあまりにそうなるのですが、結果として不安や動揺から信頼を揺るがし、良い関係でいられなくなることにつながるのです。 松本さんの場合、ステークホルダーはテレビ局、スポンサー、共演者など多岐にわたりますが、最大の存在は「ファン」「視聴者」でしょう。有料サービスにお金を払う熱心なファンだけを相手にしていくという戦略を取るのではないのならば、いわゆる「世間」への「情報提供」を積極的に行ったほうが再生はスムーズに進むでしょう。その意味でも会見には意味があるのです。 「法廷での闘争をやめた立場ですので、それについては語ることはできません。しかし、世の中に愉快な話を提供する立場の私がファンの皆様をはじめ、関係者の方々に決して愉快でない話を提供してしまったことは誠に申し訳なく思っております」 カメラを前にきちんと語りかければ、モヤモヤした気持ちを抱いている視聴者のうち一定数は理解をしてくれるはずです。残念ながら、インタビューに応じるだけでは、気持ちはきちんと伝わらないと思います。