「松本人志は今からでも会見をした方がいい」 危機管理コンサルタントが断言する理由
「トウソウ本能に支配されるな」というセオリー
一連の経緯を見て松本人志さんの対応があまり上手とはいえない、というのは多くの方の一致した見方かと思います。そうなった今、「危機管理コンサルタント」があれこれ言っても、後講釈のように受け止められる方もいらっしゃるでしょう。 しかし、松本さんサイドに、危機管理のセオリーを理解している方、あるいは教える方が居なかったことは事態を悪化させたと私は考えています。以下で述べるセオリーはいずれも今回取って付けたものではなく、著書(『その対応では会社が傾く プロが教える危機管理教室』)や講演で述べているものです。松本さんは今から対応をやり直すことはできませんが、一般の方でも危機管理を考える際に参考にしていただければと思います。
まず初動で松本さんサイドはミスを犯しました。 危機管理に失敗する要因の一つが「二つのトウソウ本能に支配される」というものです。従って、セオリーとしてはこれに支配されてはならない、ということになります。 二つのトウソウとは「闘争」と「逃走」です。 危機管理では「感知」「解析」「解毒」「再生」という四つのステップを踏んで行うのが基本です。危機を素早く「感知」し、現状と展開を「解析」した後に、詳しい説明や謝罪などで「解毒」した上で、窮状からの「再生」を図ります。これもまた著書などで強調してきたセオリーです。 今回、松本さんは週刊文春の報道直後から、裁判で闘う姿勢を示しました。「闘争」です。 一方で公の場での説明や謝罪をしませんでした。いろいろな考えはあったのでしょうがこれは「逃走」と捉えられました。 この二つのトウソウ本能に支配されると、危機管理に失敗します。 本来、「解析」をきちんとすれば、裁判には時間がかかること、白黒簡単につけられる類いのものではないことなどは明らかでした。仮に裁判で勝っても、誰もが彼の味方をするという状況は実現できなかったでしょう。 インタビュー記事で、松本さんは裁判について当初のイメージと異なるものだったと反省の弁を口にされています。これは解析のステップを飛ばした結果です。 誤解のないように申し添えれば、裁判で闘うことそのものは否定しません。しかし、その展開を想定した上で、本業の活動をどうするかを初期の段階できちんと考えられたほうがよかったでしょう。