3年ごとに改悪される介護環境。今年の介護制度の改正ではどう変わる?
2000年4月にスタートした介護保険制度は、3年に一度、制度や報酬が見直され、2024年度は第9期になります。本記事では、2024年度以降の介護保険制度改正のなかから、利用者に関係がある主な改正内容のポイントをお伝えします。
65歳以上の介護保険料の所得段階の改正(2024年4月から)
介護保険料の財源は、公費(税金)と40歳以上の方が納める介護保険料で賄われています。負担割合は公費50%、40~64歳の方の保険料27%、65歳以上の方の保険料23%となっています。 65 歳以上の方の保険料は、3 年ごとに自治体が定める基準額(※)に、所得段階に応じた割合を乗じて決定され、その額は自治体によって異なります。 ※基準額=介護サービスの総費用×65歳以上の方の負担分23%÷65歳以上の方の人数 今回の改正で、国の標準的な保険料の所得段階を現行の9段階から13 段階に増やし、高所得者(合計所得金額420万円以上)の乗率を引き上げ、低所得者の乗率の引き下げを行うことで、低所得者(世帯全員非課税)の保険料上昇の抑制が図られました。 具体的には、現在、合計所得金額「320万円以上」に設定している最も所得の高い区分(第9段階)を細分化して、新たに「420万円以上」(第10段階)、「520万円以上」(第11段階)、「620万円以上」(第12段階)、「720万円以上」(第13段階)の4段階を設け、「420万円以上」の高齢者については、これまでよりも高い介護保険料の負担をしてもらうことにしました。 一方、所得が低い第1~第3段階の高齢者(世帯全員非課税)については、乗率を下げ、介護保険料の負担額を減らしました。
一部の福祉用具に係る貸与と販売の選択制の導入(2024年4月から)
福祉用具は貸与により利用することが原則ですが、一部の福祉用具(固定用スロープ、歩行車を除く歩行器、松葉杖を除く単点杖、多点杖)については、貸与のほか販売の選択もできるようになりました。 なお、選択対象の福祉用具の提供は、福祉用具専門相談員かケアマネジャーが、利用者が福祉用具貸与か特定福祉用具販売のいずれかを選択できることや、メリット・デメリットを含め必要な情報について説明しなければなりません。利用者への提案については、医師や専門職の意見、利用者の身体状況等を踏まえる必要があります。 選択で「貸与」となった場合は、利用開始後6ヶ月以内に最低1回、福祉用具専門相談員がモニタリングを行い、貸与の継続について検討します。 選択で「販売」となった場合は、福祉用具専門相談員が特定福祉用具販売計画を作成し、その目標の達成状況を確認します。また、利用者などからの要請があれば、販売後に福祉用具の使用状況の確認と、必要な場合は使用方法の指導や修理などのメンテナンスを行うようにします。