Scyeが国内の展示会時期を前倒し、メリットは?
「サイ(Scye)」が、これまで年2回春夏シーズンと秋冬シーズンに分けて実施していた新作展示会の開催月をそれぞれ2~3ヶ月前倒しする。
2000年に設立したサイは、2025年で25周年。これまで新作の展示会を春夏シーズンは7月、秋冬シーズンは翌年2~3月に開催してきた。新スケジュールでは、春夏シーズンが5月、秋冬シーズンが11月と大幅に早まる。参考までに主なファッションウィークのスケジュールは以下。 主なファッションウィークスケジュール ・パリ 春夏:メンズ6月、ウィメンズ9~10月 秋冬:メンズ1月、ウィメンズ2~3月 ・ミラノ 春夏:メンズ6月、ウィメンズ9月 秋冬:メンズ1月、ウィメンズ2月 ・ロンドン 春夏:9月 秋冬:2月 ・ニューヨーク 春夏:9月 秋冬:2月 ・東京 春夏:9月 秋冬:3月 展示会時期の変更には、生産を依頼している工場のキャパシティの都合があるという。ファッション業界の一般的な“展示会シーズン”である元々の時期から前倒しすることで、工場に依頼をする際の他ブランドとのバッティングを避け、商品の供給を安定させることを狙いとしている。 また、時期を早めることにより、国内展示会を行った後にファッションウィークに合わせ、海外でも展示会を開催できることも副次的なメリットとして挙げられる。従来の展示会スケジュールでは、生産が海外ファッションウィークに間に合っていなかったが、今後はビジネスチャンスを最大限広げる立ち回りが可能になる。サイは11月末に2025年秋冬展示会を開催したが、年明けには1月のパリメンズファッションウィークや2月のロンドンファッションウィークを中心に、海外での展示会開催を検討しているという。 大手セレクトショップなどで長年買い付けを担当しているバイヤーは、「高度な技術を有する工場は全国でも限られており、一般的な展示会シーズンでは有名ブランドから依頼が殺到する。展示会時期をずらすことで、商品クオリティの安定や工場の負荷分散といったメリットがある」と分析。一方でデメリットについても触れ、「前年同時期のシーズンが締まらないうちにラインナップを確定させるので、急なトレンドや情勢の変化には対応できない可能性がある。タイムレスで世界観が固まっているブランドだからこそ実現できる生産スケジュールだ」と話した。