先輩社員が「会社支給のスマホ」で頻繁にゲーム。業務時間なのに許される? 給料は発生していると思うのですが……
会社員は、業務時間中は会社の定める業務に専念しなければなりません。これを「職務専念義務」といいます。また、職務専念義務に違反して、業務時間中にスマホ操作などの私的行為をした場合は、状況により懲戒処分の対象となります。 今回は、職務専念義務および懲戒処分について解説するとともに、社内通報制度を紹介します。
職務専念義務とは
会社員の職務専念義務は、法律に定められたものではなく、通常は雇用契約や就業規則に規定されています。一方、公務員は、法律により職務専念義務が規定されています。 1.国家公務員の職務専念義務 公務員の例として、国家公務員のケースで確認しましょう。国家公務員の職務専念義務については、国家公務員法第101条に「職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」と規定されています(※1)。 2.会社員の職務専念義務 会社員の場合は、職務専念義務が規定された法律はありません。しかしながら、労働契約の締結と同時に、職務専念義務が発生するものと考えられます。 3.職務専念の程度 それでは、職務専念義務は、職務を全ての私的行為に優先しなければならないのでしょうか。 例えば、業務時間中にトイレに行く行為や、給湯室にお湯くみに行く行為まで制限することは、逆に違法と判断される可能性があります。 一方で、会社のパソコンやスマホを使った有害サイトの閲覧やゲームはもちろんのこと、たとえ私物のスマホでも、業務時間中に大量のメール送信やSNSを用いた情報発信を行う行為などは、懲戒処分の対象になると考えられます。
懲戒処分とは
懲戒処分とは、業務専念義務違反など企業秩序や職務規律に違反する行為に対して行われる制裁罰で、人事院規則や労働基準法などに規定されています(※2、3)。 人事院規則には、懲戒の種類として停職、減給、戒告の3種類が規定されています(※2)。また、労働基準法では、就業規則に制裁規定を記載することが定められており、減給の額が規定されています(※3)。