【繰り返される電力融通】猛暑のせいでは決してない、電気が不足し不安定化する理由
電力会社間で電気が融通されるのは、この「同時同量」を満たせない可能性が発生した時です。万が一不足したら停電するので、発電設備が不足する可能性が出てきたら事前に電気を融通し供給量に余裕を作り備えます。その基準は、電力供給量の余裕(予備率)が需要量に対し3%を切った時です。 もう一つ電気が不足することがあります。発電に必要な燃料が足りなくなった時です。1kWのエアコンを2時間使えば2kW時(kWh)の電気を使ったことになります。ちなみに電気料金が1kWh当たり30円とすると電気代は60円です。 仮に、100万世帯が1kWのエアコンを2時間使えば、200万kWhの電気を消費することになり、発電所は200万kWhの電気を供給する必要があります。たとえば、100万kWの火力発電所に十分な燃料がなければ、必要な電力を2時間続けて供給するのは難しくなります。 必要な電力の量(kWh)を供給しなければ停電します。発電所を必要な時間動かす燃料が必要ということです。今夏は、この燃料不足の問題は発生していません。先にあげた「同時同量」が問題になっています。
多くの地域で電気が足りない状態に
電気の需要は一年を通し変化します。月ごとに最も多く使用した電力の量(最大需要電力)が図-1に示されています。夏と冬は、冷暖房需要が大きく最大需要も大きくなっています。 一日の中でも電力需要は変化します。夏は午後に冷房需要で最大の需要になります。冬は朝と夕方にピークが来ます。 このピークになる時に、需要量以上の供給設備がなければ「同時同量」を満たせず停電します。 電力会社(正確には大手電力が保有する送配電を担う会社。例えば東京電力パワーグリッド、関西電力送配電、東北電力ネットワークなどです)間で電力は融通されます(送配電会社の名前が様々なので、以下では大手電力の地域の名前とします)。 全国の電力需要の調整を担う電力広域的運営推進機関が、電力が不足する電力会社への送電を供給量に余裕がある電力会社に指示します。今年9月上中旬の送受電指示は、表の通りです。 夏の一日の電力需要量は図-2のように推移します。午後2時、3時頃に需要のピークがありますが、送受電、電力融通の指示は需要が減少し始める夕方に多くあります。なぜでしょうか。