上司の「若いんだから大丈夫だよ!」はマズイひと言…若手の「疲れた」「厳しい」は“すでに崖っぷち”のサイン
多くの場合は〈段取りのアドバイス〉が解決策になる
若手社員が「疲れた…」「厳しい…」と言うときは、仕事が効率的に進められない、仕事を効率的にするための方法がわからない、この2点が組み合わさっていることが多いです。 若手は目の前に複数の仕事があった場合、先読みして手順を組み立てることにまだ慣れていません。そのため上司や先輩から指示された順、あるいは単純に気になった順に取りかかってしまいがちです。その結果、時間を効率的に使えずに焦りや疲れにつながります。 もちろん、これらは経験不足のうちは仕方のないことです。そこで、仕事を性質上から3つに分類して手順を組み立てるアドバイスをします。 ----------------------------------------- (1)簡単に素早く終わる仕事 業務の報告や連絡、メール確認と返信、日々のルーチンワークなど (2)自分だけの裁量でできず、進めるにあたって時間がかかる仕事 取引先や他部署に問いかけて返事を待つ事柄、上長の承認が必要な案件など (3)集中して手を動かす仕事 まとまったシステム入力、PCを使っての資料作成など ----------------------------------------- 若手に、目の前の仕事をこの3つに分類して、優先順位を決めて取りかかるように伝えてみてください。そうすれば、時間を効率的に使うことができ、仕事が前に進めやすくなるはずです。もちろん若手から話を聞いた結果、原因がほかの事柄である場合には、それに合った解決策をアドバイスしてください。 いずれにしても若手に詳しく話を聞くこと、おだやかにアドバイスをすることによって状況はかなり改善されるはずです。 発端は若手社員の「疲れた…」「厳しい…」というちょっとしたひと言ですが、上司や先輩が言語化力とわかりやすい説明力の意識を持っていれば、適切なコミュニケーションがとれるようになります。それでも改善が見られないようであれば、上司や先輩が若手の仕事量を調整するか、代わりに預かるようにしてください。 -------------------------------- <ポイント> 「若いんだから大丈夫だよ!」と一蹴せず、話を聞いて適切なアドバイスをする -------------------------------- 伊藤 誠一郎 若手社員育成専門コンサルタント 若手社員育成研究所代表 1971年東京都出身。学習院大学法学部法学科卒業後、15年間にわたり医療情報システム、医療コンサルティング分野において提案営業、プロジェクトマネジメントの業務に従事した後、2009年に独立し、プレゼンテーション、提案力向上をテーマに講師活動を開始。その後、ロジカルシンキング、職場コミュニケーション、組織マネジメントなどテーマを広げ、新入社員から中堅社員、管理職まで延べ300社、2万人以上に研修、講演、セミナーを実施。 現在は、多くの若者と接する氷河期世代という二刀流講師としてZ世代と言われる若手社員育成と彼らを育てる上司、先輩のための企業研修、講演を行っている。
伊藤 誠一郎