引退試合で同点2ラン“ロッテ次期監督”井口資仁がセレモニーで所信演説
千葉ロッテの井口資仁(42)が24日、満員札止めのZOZOマリンで行われた日ハム戦で引退試合に臨み「6番・DH」で出場。1-3で迎えた土壇場の9回に起死回生の同点2号2ランを放ち、チームは延長12回に鈴木大地のサヨナラヒットで、井口の花道を最高の形で締めくくった。“次期監督”の井口は、引退セレモニーで「この位置で終わるチームじゃない」と球団ワーストの85敗で最下位に沈んでいるナインに、まるで所信演説にも聞こえるような檄。野球ノートをつけて目標を定め、そのための愚直な努力を続けて球界最年長となるまで日米通算で21年間もプレーしてきた井口は、野球人としてのあり方を引退試合で後輩たちに結果で伝えた。 出来すぎたドラマにZOZOマリンの熱狂は最高潮に達した。 2点を追う9回。代打の清田がライト前ヒットで出ると、「ゲッツーはまずいよな」と、井口は少しネガティブなことを考えて4打席目に入った。「6番・DH」で出場し、2回、先頭打者で迎えた第一打席はレフト前ヒットを放ったが、4回はセカンドゴロ、続く6回の第3打席はスイングアウトの三振に終わっていた。 これが現役生活最後の打席になるかもしれなかった。 カウント2-1から日ハムの守護神、増井が投じた149キロのストレートだった。高々と上がった打球は、大歓声に押されるようにバックスクリーン右の最前列に飛びこみ、女性ファンがそのボールを拾った。 「まっすぐで勝負してくれたから。感謝します。シーズン中には、あそこの打球が失速していたが、自分の思いだったり、みんなの思いが伝わってフェンスを超えてくれた。この何年か忘れかけていたくらいの感触。ファンの方や勝たせてやりたいというチームの思いが打たせてくれた」 井口の一発で延長にもつれこみ、12回一死二、三塁から鈴木大地がライト前へサヨナラヒット。グラウンドへ飛び出してヒーローに水を浴びせるメンバー全員が背番号「6」だった。 この試合、試合直前まで井口やメディアに秘密にしたままサプライズで全員が背番号「6」でプレーした。相手チームも含め、事前にコミッショナーの了解を得ておけばできるもので、昨年も、横浜DeNAの三浦大輔の引退試合で選手全員が背番号「18」でプレーした。サヨナラシーンで誰が誰だかわからない背番号「6」が、もみくちゃのお祭り騒ぎを演じて「6」ボードを掲げる球場全体が“井口一色”に染まった。 「涙はなく楽しめた。試合中もみんなのコメントを見たり、うるっとしたところもあったが、最後の最後に一番頑張ってきた大地が打ってくれ、最高の一日になった。みんなに感謝している」 場内のサブスクリーンには、ひとりひとりの選手が打席に入るたびに井口への惜別メッセージが文字になって映し出されていた。DHでベンチスタンバイだった井口は、その言葉をかみ締めていた。