【箱根駅伝】予選会を1秒差で通過した順天堂大は、エントリー16人中10人が下級生「チーム全員が5位を目指せるという志」
第101回箱根駅伝を前に、12月12日、順天堂大学が千葉県印西市のさくらキャンパスで会見を開いた。長門俊介監督を始め、副主将の海老澤憲伸(4年、那須拓陽)、エースの浅井皓貴(4年、豊川)、吉岡大翔(2年、佐久長聖)らが出席し、箱根路にかける思いを語った。 【写真】これまでと異なる気持ちで競技に取り組めていると述べた吉岡大翔
チームの調子が上がり目標を上方修正
順天堂大学の今年のスローガンは「下剋上」。第100回大会で総合17位に沈み、シード落ちしたことを受け、4年生が考案した。今年は、全日本大学駅伝で予選落ちするなど、出場できる3大駅伝は箱根駅伝のみ。その予選会でも、東京農業大学を1秒差で退け、ギリギリで14年連続の本戦出場を決めるという薄氷の通過だった。ただ、その後、チームの調子が上がってきたことで、予選会まではシード権獲得としてきた目標を総合5位に上方修正したという。 予選会では日本人選手2位の1時間3分49秒でゴールした浅井は「長い距離やアップダウンがあっても、けがにつながらない無駄のない走りができるように、走っている時の体の使い方を意識している」と、箱根に向けたトレーニング状況を説明。今年は2区を走ったものの、直前に体調を崩して区間19位という不本意な結果に終わった。それだけに、今回は特に調整を意識して準備。目標は、第93回大会から4年連続で2区を走った塩尻和也(現・富士通)の記録(1時間6分45秒)だという。「予選会が終わってから、この1本に絞って練習してきました。うまく体の状態に合わせ、集中して練習ができています。(チーム内でも)上を目指すという挑戦の気持ちが徐々に出てきています」
1、2年生が台頭して全く違うチームに変化
今年の箱根駅伝で3区を走り、区間14位だった副将の海老澤は、主将の服部壮馬(4年、洛南)がメンバーから外れたことを受け「4年間、一緒に切磋琢磨(せっさたくま)してきました。最後の箱根だからというわけではなく、服部の分までという気持ちで戦っていく」と決意を語った。そのうえで、チームの調子が上向き、目標を5位に据えた背景に1、2年生の台頭があることも明かした。「下級生にすごい勢いがあって、前半シーズンと後半シーズンで、全く違うチームになっていると思う。すごく良い雰囲気になっていて、僕も含めてチーム全員が5位を目指せるという志でいます」 海老澤が明かした通り、予選会が終わってから、下級生が尻上がりに調子を上げてチーム状況は一変したという。エントリー人数が異なるため、単純に比較はできないが、予選会のメンバー構成は、4年生6人、3年生1人、2年生5人、1年生2人だったのに対し、本戦では4年生が3人、3年生3人、2年生5人、1年生5人と、16人中10人を下級生が占めた。 スローガンさながら、チーム内でも起きた下剋上。好調ぶりの代表格が、5月の関東インカレ男子1部10000mで8位に入賞した玉目陸(1年、出水中央)だ。12月1日に熊本県甲佐町で開かれた「熊本甲佐10マイル公認ロードレース」に出場し、パリオリンピック男子マラソン代表の小山直城(Honda)ら実業団の選手を退け46分21秒で優勝。古川達也(2年、川崎市立橘)も8位に入り、2人ともメンバー入りを果たした。玉目は会見で「自分の強みはレースを楽しんで走れるところです。箱根駅伝では、1年生でありますが、堂々とした走りで、未来の順天堂大学のエースとなれるような、そして未来の学生長距離界のエースとなれるような走りをしていきたいと思います」と語った。