【箱根駅伝】予選会を1秒差で通過した順天堂大は、エントリー16人中10人が下級生「チーム全員が5位を目指せるという志」
「こだわり」を捨てた吉岡大翔
5000mで日本人高校歴代トップの記録を持つ吉岡大翔(2年、佐久長聖)も手応えを口にする。大学に入学してからは、苦しい時期が続き、今年も、夏合宿までのトラックシーズンで思うような結果を残せず、昨年は出場できた日本選手権に出走することはかなわなかった。そういった時、これまでだったらネガティブになりがちだったが、今は違う心境になっているという。 「自分では、高校時代よりも、全然、強くなっていると思っています。大学に入ってからは13分30秒を切っていませんが、当時とコンディションは違いますし、練習内容も生活も全然違います。最近、走るのが楽しくなってからは、変にこだわらないようになりました」 11月に日本体育大学で行われた記録会では10000mで28分26秒75の自己新をマークし、調子は上向いている。箱根での個人目標としては「区間賞」を挙げたうえで「しっかりと最高のパフォーマンスを発揮したい。具体的な区間は決まっていませんが、去年の経験を生かして前半から積極的に入って、ラストを上げていく自信はあるので、最後の最後まで自信をもって走り抜けたい」と力を込めた。
長門俊介監督「不安要素のある選手は1人もいない」
長門俊介監督は「現状で、けがなどの不安要素がある選手は1人もいません。予選会からは、全くの別チーム」と強調。例年、1年生は夏合宿で7~8割の練習量を消化するところを、今年は上級生と同様に長い距離をこなす練習に取り組んできたという。その結果、けがなどで出遅れて予選会に間に合わなかった面があると説明。ここにきて、調子が上向いてきたことで、メンバーに入れることを決めた。 総合5位という目標に対しては「予選会が終わった後のミーティングで、5位を目指す取り組みをしないとシード権を狙えないし、それぐらいの覚悟を持ってやっていこうということで、目標をぶらさずにやってきました。予選会後の競技会や練習の消化状態を見て、彼らが自信を持って5位を狙いたいという気持ちが自然に出てきたのだと思います」と語り、選手たちに期待を込める。 シード落ちしてから、試行錯誤を続けてきた古豪・順天堂。本戦直前になってチーム内の機運が高まってきた。新たに台頭してきた下級生と安定的な走りを見せる上級生の融合で、新しい時代の幕開けが期待されている。
松崎敏朗