ヘビー級プロテスト合格の異端児・但馬ミツロがデビュー前から日本王者と元3冠王者を挑発豪語。「話になんない」「連チャンで2人をぶっ飛ばす」
プロボクシングのヘビー級B級プロテストが21日、東京・下北沢の金子ジムで行われ、アマ5冠の但馬ミツロ(25、緑ジム)が、スパーリングと筆記テストをクリアして合格した。現在ヘビー級の日本ランカーは日本王者の上田龍(27、石神井スポーツ)と元OPBF東洋太平洋ヘビー級&WBOアジアパシフィック同王者の藤本京太郎(33、角海老宝石)の2人しかいないが、「そいつらを一回、全員ぶっとばしてからクルーザーで勝負していきたい」とデビュー前から豪語。国内のヘビー級戦線制した後は、適正階級であるクルーザー級に落として米国へ進出、世界のベルトを狙うという。6、7月にデビュー戦が予定されており、その後、WBA世界バンタム級スーパー、IBF世界同級王者、井上尚弥(26、大橋)の4戦目を抜く日本最速記録で上田の日本王座を射止める計画が練られている。
30%の出来でA級ボクサーを圧倒
特例だった。 ヘビー級は、プロテストをするにも相手がいないため苦労するが、但馬が、金子ジムの大相撲力士から転向したA級ボクサーの大和藤中(34)とのスパーリングで上京することになったため、急遽、JBCからレフェリーの福地勇治氏が試験官として派遣され、たった一人のプロテスト実施となった。まずA4のプリント一枚の筆記試験を行い、100点満点で合格(ただし、これは試験というより、基礎知識を学ぶのが目的で答案用紙を見ながらの”カンニングOK”の筆記試験であったが)、続いて大和藤中との3ラウンドのスパーリングが行われた。 スタートから180センチ、120キロの肉体が全開。スピードに乗った左ジャブから、凄まじい音がする右のボディをめりこませ、本気で反撃してきた大和藤中と、くんずほぐれつの肉弾戦になった。両者がエキサイトし、途中、何度も”試験官”の福地氏が「離れて」「ブレイク」と声を張り、「テストだからね。試合じゃないから技術を見るからね。もっとジャブを打って」と、たしなめるほどだった。 2ラウンドに入ると、少し緊張感が解け、足を使いワンツー、ボディを打ち分け、終了間際には、大和藤中の打ち終わりにスピード十分のコンビネーションブローをヒットさせ、思わず、福地氏が「藤中!大丈夫か?」とダメージを心配したほど。3ラウンドには、ロープを背負うシーンもあったが、クビを振ってノーダメージをアピールし、スウェーで外すディフェンス技術も披露。終盤には、強烈な右フックをぶんまわして、それがもろに命中。リングを取り囲んだ報道陣、関係者をどよめかせた。18オンスのグローブでなければダウンシーンがあってもおかしくない迫力だったが、但馬、曰く「腕だけで振って、最後も拳も握っていない」手加減したパンチだったそう。 息が上がりスタミナ面は出来上がっていなかった。粗さも随所に見えたが、スピード、技術、パワーのすべてで先輩ボクサーを圧倒しプロテストを終わらせた。 相手を務めた藤中も「初めてやったけど、しっかりとボディまで打ってきたので驚いた。スピードはあったし、あの体格からすれば、パンチはある方だと思う」と、不毛のヘビー級に出てきた大型ルーキーを絶賛した。 福地氏は、すぐさま合格を通知した。 「ボクシングを始めたときにパソコンに釘付けとなって映像を見た世界がプロだった。これから何戦もしていく中で、その入り口に立てたことは、人生で一回のことなので、僕自身感慨深い。いろんな感情がこみあげている」 長い髭に長髪を結わえた独特の風貌。 リングサイドに座ってメディアのインタビューを受けた但馬は、しみじみと語ったが、これは2018年の福井国体以来、実に約1年半ぶりの実戦。「テストに合格することが目的だったので、ピークを100としたら、30にいかない内容」だという。 「1ラウンド決着も、インファイトで倒すことも、今日のようにアウトボクシングでさばくこともできる。まだまだ見せていない引き出しはたくさんある」