薬剤師の業務負担を軽減し、患者さんによりよい医療を届ける…“薬局のDX”に取り組む株式会社カケハシの大きな挑戦とは?
◆カケハシがリリースするさまざまなサービス
カケハシでは、そうした薬剤師の負担を減らすべくさまざまなサービスを提供しています。その1つが2017年にリリースした電子薬歴「Musubi(むすび)」です。 こちらは現在、全国7,000店舗以上の薬局で導入され、そのシェアは日本一で、「現在、日本の病院・クリニックの電子カルテ普及率は5~6割程度で、世界的には低いほうという認識を持っています。一方、薬局における薬歴(カルテのようなもの)の電子化状況は7~8割です」と中尾さん。 そこで笹川が「Musubi」を導入した薬局側の反応を伺うと、中尾さんは「“(導入することで)業務効率化につながる”というのはよくある話ですが、『Musubi』のユニークな点は、患者さんの年齢・性別・病気、(服用している)薬などを分析し、『あなたはこんな生活をしたほうがいいですよ』と提案してくれるんです。つまり(薬局が)ただ薬をもらう場所ではなく“追加情報がもらえる場所”に変わります」と実感を語ります。 このほかにも、患者さん向けにLINEを使ったツール「Pocket Musubi」も提供しています。こちらは薬局で薬をもらった後、薬剤師の方からLINEを介して患者さんに処方に合わせた質問が飛ぶようになっており、「(患者さんが)質問に回答してもらうことで、医療従事者や薬剤師が患者さんの状況をすぐに把握し、問題の発見や解決が早期にできるようになります。薬剤師が、薬の説明をして渡すという存在から、普段の生活の中で困ったことがあれば、すぐに助けてくれる存在に変わるようなツールになっています」と自信をのぞかせます。 さらには「Musubi AI在庫管理」というツールも。医薬品の在庫管理は、いつ必要か分かりにくく、発注するにしても、季節・時期に左右されることも多いため、経験を積み重ねた熟練スタッフの“職人技”に頼っている部分が多いそう。そこで、このツールを使えばデータで在庫管理ができ、発注量もAIがサジェストしてくれるため業務量が激減するとのことです。