<Jリーグ>FC岐阜に浸透してきたラモスイズム
ラモス監督の声がこだまする。素早い切り替えや体を張ったプレーには「ナイス!」と賞賛を送り、相手のクサビに対してアタックにいかなければ「なんで逃げる!」と怒号を鳴らす。大分県別府市で12日間のキャンプを張ったFC岐阜。酷寒続きの空に、指揮官の魂の声が鳴り止むことはなかった。ラモス監督は戦術について多くを語らない。ただ、自身の思い描くサッカーに「守備」を最重要視していることは間違いない。 FC岐阜はなぜラモス、川口、三都主を補強できたか
「まず守備をやんないと攻撃なんかないんだよ。まず守りがある。ただ、攻撃しないと点は取れないし、引き分けも多くなる。0-1で負けるケースも出てくる。そうならないように、まずは正しいポジションを取って守る。そこから攻撃のスイッチを早く入れればいいし、カウンターも狙いたい。ただ攻撃だけっていうのは世の中にないんだよ」 指揮官が口にするキーワードは、「積極的なプレス」と「攻守の切り替え」、「1対1で負けないこと」。戦術的な約束事は多くはないものの、その3点だけは「譲らない」と強いこだわりを示している。 最終ラインは高く設定されており、選手間の距離感も近い。陣形をコンパクト化することで、FWの積極的なプレスに全体が連動する守備は、非常にアグレッシブだ。攻守の切り替えも尋常ではないほど徹底されており、できるだけ高い位置でボールを奪う形が理想である。 成果は出ている。ヴェルスパ大分との練習試合では、相手の最終ラインに猛烈なプレッシャーをかけることで、相手ボールホルダーの“逃げ道”を限定。相手のパスをインターセプトした高地系治が、そのまま一気に抜け出してゴールを挙げた。他の練習試合でも同じような形から何度もゴールを奪った。 もっとも、目まぐるしく状況が変わるサッカーにおいて、毎回、理想を追求できるわけではない。ブロックを作りながら、“どこでボールを奪いに行くべきか”は、選手たちの判断に委ねられている。