「フワフワめまい」に悩んだら<自律神経>に目を向けて。専門医提案!大きな成果を上げた<セルフケア>紹介
厚生労働省が行った「令和4年 国民生活基礎調査」によると、人口1000人あたり20.3人が「めまい」の症状を訴えているそう。ストレス社会の現代では、「体がフワフワするめまい」に悩まされる人が増加しています。川越耳科学クリニック院長・坂田英明先生と、めまい相談医・神崎晶先生は、「フワフワするめまい」に悩む患者さんを数多く治療してきました。今回は、お二人が「めまい」を撃退する方法をまとめた著書『フワフワするめまいを治す最強の食事術 名医が教える新しいめまい撃退法』より、一部お届けします。 【グラフ】自律神経と密接に関係!言語聴覚士がまとめた「体温の日内変動」3タイプ * * * * * * * ◆「体温」「食事」「睡眠」が重要 フワフワめまいのセルフケアについてお話ししましょう。 フワフワめまいの主要な原因は、自律神経の乱れです。 これが内耳の障害などであったなら、耳鼻咽喉科で適切な治療を受ければよくなるでしょう。 しかし、自律神経の乱れの場合、生活の改善を行うことによって、直接、自律神経に働きかけ、その乱れを整えます。 実際、私たちのクリニックでは、フワフワめまいの患者さんに自律神経を整えるセルフケアを提案し、大きな成果を上げてきました。 では、その方法をご紹介しましょう。 自律神経の乱れを引き起こす最大の原因は、ストレスです。 もちろん、原因となるストレスをスッキリ解消できるなら、なんの問題もありません。しかし、ストレス社会に生きる私たちにとって、日々のストレスは簡単に解消できるものではないでしょう。 解消したいと思っても、どうすることもできない。また、知らず知らずのうちにたまってしまうのがストレスです。 私のクリニックでは、フワフワめまいの患者さんたちにさまざまなストレス解消法を試していただきながら、あわせて乱れた自律神経を整える方法を提案しています。 ポイントとなるのが、「体温」「食事」「睡眠」の3つの要素です。
◆体温の「日内変動」が大切 まず、体温について。 私たちの体温は、1日を通してずっと一定なわけではありません。1日のうちで、高くなったり低くなったりと変動しています。これを体温の「日内変動」といいます。 一般的には、体温は朝方から次第に上昇し、午後2時頃に最も高くなり、夜から明け方にかけて下がります。最も高い体温と低い体温を比較すると、約1℃くらいの違いがあります。 この日内変動は、かなりの個人差があり、変動幅が少ない人もいれば、変動幅の大きい人もいます。 これらの体温をコントロールしているのが、自律神経です。 この体温の日内変動を見ていくと、自律神経の状態がどのようになっているのか、それを推測することができます。 当院では、初診の患者さんに対して、「体温記録表」を渡して、毎日の体温の変化を記録してもらっています。 1日のうち、朝食前、昼食後の午後2時もしくは帰宅後、就寝前の3回です。 記録を取ることで、ご自分の体温の日内変動を知ることができます。 当院の中村由美(なかむらゆみ)言語聴覚士がまとめたところによると、体温の日内変動のタイプには、「平坦型」「変動型」「夜間上昇型」の3つがあることがわかっています(下図参照)。 フワフワめまいの患者さんの体温を調べてみると、総じて体温が低い傾向にあります。 ちなみに、基礎代謝(安静にしているときに消費するエネルギーの量)が低い高齢者や、冷え症、低血圧の人も体温が低めです。 体温が1℃下がると、免疫力(体内に病原体が侵入しても発病を抑える力)が30%下がるともいわれています。 自律神経のバランスが乱れ、機能が落ちている結果として、体温の低下(それに伴う免疫力の低下)が起こっている可能性があります。 低体温であることがわかった場合、体温を上げる必要があります。 とはいえ、単純に体温を上げればよいということではありません。 1日のなかで理想的な曲線を描くように、体温を上げる必要があるのです。