先生は元日本代表 女子ソフトで活躍の山根すずかさん 新天地の徳之島で奮闘中
鹿児島県徳之島町立東天城中学校(大田耕造校長、生徒41人)で珍しい経歴の持ち主が教壇に立っている。講師の山根すずかさん(31)は元女子ソフトボール選手で19歳以下、大学の各カテゴリーで日本代表に選出された。今年1月に現役を退いて教員に転身。今年度から新天地の徳之島で子どもたちの指導に奮闘している。 兵庫県出身。小学校5年生で競技を始め、千葉県の木更津総合高校、東京女子体育短期大学などを経てデンソーブライトペガサスやオーストラリアのチームでプレーした。身長161センチ。右投げ右打ちの遊撃手。 東天城中では1年生の副担任や特別支援学級の担任を務め、主に英語を教えている。「スポーツも勉強もまずは楽しむことがスタート」と話す山根さん。「島の子どもたちはとても純粋。いったん興味を持てばスポンジみたいに吸収してくれる」と目を細めた。 選手としての実績を買われ、オーストラリアでは永住権を取得。国内でも誘いは多かったが選んだのは教員で、勤め先は「離島」にこだわった。山根さんは「少人数で生徒全員の顔が見える環境が理想だった」と理由を述べ、「買い物が不便だったり、子どもたちに『ハブが出るよ』とからかわれたりもするけど島での生活は楽しい」と笑顔を見せた。 生徒の一人は「部活の指導は厳しそうだけど、優しくてスポーツ万能。授業も楽しくて自慢の先生」とにっこり。大田校長は「生徒の視点に立って向き合うことができる心強い存在。島の自然や文化を堪能しながら頑張ってほしい」と背中を押した。 教員の経験を生かして、ゆくゆくはオーストラリアで競技指導者を目指すという山根さん。「2032年のブリスベンオリンピックに向けてオーストラリア代表の強化に協力したい」と目標を語る一方、「子どもたちから『卒業までは島にいてよ』と頼まれると名残り惜しい。オーストラリアに移住してもオフには徳之島に帰ってきたい」と照れくさそうに笑った。 同中では女子バレーボール部を指導し、ソフトボールからは離れている山根さんだが、「県民スポーツ大会大島地区大会」(郡体)の女子ソフトボール競技(14日、龍郷町)には天城町代表で出場する予定。国内外でトップ選手として活躍した山根さんのプレーが注目を集めそうだ。