選抜当確の健大高崎、同点弾の主砲は「will」 秋山潤琉が“名前通り”の大活躍、家族に誓った恩返し
佐野日大にコールド勝ち、来春選抜出場が濃厚に
第77回秋季関東高校野球大会は29日、川崎市の等々力球場で準々決勝1試合を行い、健大高崎(群馬)は10-3で佐野日大(栃木)に7回コールド勝ち。来春の選抜出場へ大きく前進した。今春に続く全国優勝へ、まず出場権を獲得するためには重要な一戦。ここで勝利に大きく貢献したのが「3番・一塁」で先発し、3回に左翼へ同点弾を放った秋山潤琉内野手(ういる=2年)だ。帽子のつば裏には大きな文字で「恩返し」。両親への感謝の思いが込められていた。 【画像】「まさかこんな展開に」「なかなかの衝撃!」 負けを喫した県強豪、試合後に涙する実際の写真 2-3と逆転された直後の3回、秋山は1死無走者の場面でこの日2度目の打席に立った。カウント2-1からの4球目、佐野日大の左腕、洲永俊輔投手(2年)の高め直球を豪快に引っ張ると、打球は左翼フェンスを越えた。高校通算16号の同点弾。大きなガッツポーズを見せながら生還し「前の回に逆転されて、絶対に追いついてやろうという気持ちがあった」。気迫、そして絶対に何とかするという意思が呼びこんだ一撃だと喜ぶ。 さらに第3打席も左前打で出塁。6回の第4打席でも、2死三塁から8点目を叩き出す左前適時打。3打数3安打、2打点の大当たりで打線を引っ張った。
秋山の帽子は、つばの裏に「恩返し」と大書されている。一塁への帰塁で右肩を脱臼し、プレーできない時期も長かった中学時代。秋山を支えたのが家族の存在だった。「甲子園に出て恩返しするという気持ちをもって書きました」。出身は川崎市高津区。いわば“ド地元”の球場には、両親と祖父が観戦に訪れていた。 その前で、選抜出場が当確となる4強進出。甲子園が小さいころからの夢だったという秋山は、「決して恩返しができたっていう感覚ではなくて、夢がかなえられたというか、うれしいです」とはにかんだ。 名前の潤琉は「ういる」と読み、「意思」という意味を持つ英語の“will”からきている。「珍しくて覚えられやすい」と本人もお気に入りだ。名前通りの強い意思が呼んだ快勝劇。準決勝進出に満足せず、2020年以来4年ぶりの優勝へ歩みを進める。
THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda