フィリピンの中華学校と中国共産党の世界戦略
ネグロス島西部のバコロドの華明中学
4月2日。バゴロド市は人口56万人、ネグロス島最大の港湾都市。ホステルの近くに華明中学があった。英文名称はSt.John Mission School。カトリック系の中華学校だ。 守衛に話すと校長室へ案内された。1959年開校、今年創立75周年。現在当該本校に1300人、郊外の分校に400人、合計1700人が在籍。女性校長は穏やかな人柄で紅茶とクッキーを勧めながら説明してくれた。母体は中華学校であるが生徒は中国系フィリピン人(チノイ)は半数。残りはピノイという。 幼稚園・小中高一貫校である。やはり将来ビジネスで有用という実利面から中国語は生徒に人気があるという。
リベラルな女性校長
校長先生自身もこの学校で学びマニラの大学を卒業してから大学で教えていたという経歴。15年前から当校の校長を務めている。校長自身はフツウのフィリピン人の家庭で育ったので中国語はできないが、父方の先祖が100年くらい前に福建省から渡来したらしいという。 校長によるとほとんどのフィリピン人は祖先に中国から渡来した人がいるので余り中国系フィリピン人(チノイ)を区別するという意識がないし区別する意味もないという。
商業港湾都市の中華街の老舗中華学校
4月4日。フィリピン中部のスペイン植民地時代から栄える商業港湾都市。港近くの中華街は活気に満ちている。その中華街のど真ん中に位置するのが中華学校。入口に地元中国商工会議所が全面的に支援していると大書されていた。 守衛室で「日本から来た」と挨拶すると、女性校長先生のところまで案内してくれた。20世紀初頭に開校したフィリピン屈指の名門中華学校らしい。運営は商工会議所と同窓会が資金面を支えている。中華街のメインキャンパスだけでは手狭なので郊外にキャンパスと学生寮・運動場などを増設したと。現在本校800人余+新校舎600人余=合計1600人在籍。幼稚園・小中高+商科大学という一貫教育。生徒はチノイよりピノイのほうが多い。 高校卒業後はマニラなど国内大学のみならず海外留学する生徒が多いという。全国私立学校コンクールで数学、科学、弁論で優勝・準優勝しているほど学力レベルは高いという。マンダリン(標準中国語)の授業では面白いことに中国系生徒よりもフィリピン人生徒の方がむしろ熱心らしい。