賃貸住宅再建を支援 輪島市11月補正、人口流出を抑制 全半壊32棟、住まい確保
輪島市は能登半島地震で全半壊したアパートやマンションの再建費用を支援する方針を固めた。地震で半壊以上の被害を受けた賃貸住宅は32棟に上り、来月3日の市議会臨時会に提出する11月補正予算案に事業費7500万円を計上する。地震に続く9月の豪雨により、さらなる人口流出が懸念される中、市民の住まいを確保して人口減少のスピードを抑える。 被災した賃貸住宅の再建を巡っては、中小企業の施設・設備の復旧をサポートする国の「なりわい再建支援補助金」の対象外で、市内の賃貸住宅事業者などから支援を求める声が出ていた。市は復興基金を活用し、1棟当たり1500万円を上限に建物の再建費用を補助する。 市によると、賃貸住宅の地震被害は全壊19棟、大規模半壊2棟、中規模半壊3棟、半壊8棟など。このうち22棟については、所有者から公費解体の申請があり、賃貸住宅の住民は応急仮設住宅などへの入居を余儀なくされている。 仮設住宅は原則2年の入居期限が設けられ、市は今後、自宅の再建が難しい人向けに災害公営住宅の整備を進める。ただ、災害公営住宅は年齢や家族構成によって入居条件を満たせない場合があり、そうした人の受け皿として賃貸住宅が必要と判断した。 石川県の推計結果によると、地震後8カ月間の輪島市の人口減少数は1765人と、被害が大きい能登6市町で最も多かった。1月の2万1903人から9月には2万138人に減り、今後もこのペースが続けば、年内にも2万人を切る可能性がある。 ●地域施設整備県補助上乗せ 祭り継承へ後押し最大2000万円に 能登の伝統文化を象徴する「祭り」の継承に向け、輪島市は祭礼や行事に使う集会所など「地域コミュニティー施設」の再建を後押しする。最大1200万円を補助する石川県の支援制度に上乗せし、補助の上限額を2千万円、補助率を5分の4に引き上げる。 11月補正予算案に支援事業費2億円を盛り込む。祭礼の拠点となる寺社は「政教分離」の原則があるため公的支援を受けにくく、事業で「地域コミュニティー施設」に位置付ける。