【決意】義眼はずし“パリコレ”の舞台へ 「ありのままの姿で…」太鼓奏者の葛藤『every.特集』
■「義眼をいれて人生が変わった」
見た目を補い、目の組織を保護するためなどにつける義眼。富田さんの場合、眼球が残っているため半球の義眼です。付着した汚れや傷を取り除くため、定期的にメンテナンスに通っています。専用の機械で磨くと…。 富田安紀子さん(32) 「すごい、ぴかぴか」 「義眼をいれてから本当に変わりました。人生が」 「もっと早くいれておけばよかったって、ぶっちゃけ思った」 自分に自信をくれた義眼は、富田さんにとって大切な存在です。
■“パリコレ”でモデルとして和太鼓を披露
富田さんには4歳から続けていることが。和太鼓です。 「太鼓って目が見えなくなっても、ずっとたたいていける唯一の相方だな」と話す富田さん。現在は和太鼓奏者として、演奏だけでなく指導も行っています。 和太鼓を広める活動をするなか、「パリコレ」のイベントでモデルとして和太鼓を披露する話が舞い込みました。 富田安紀子さん(32) 「太鼓と一緒に出られるって話をきいたときは、本当に夢みたいだった」
■“コンプレックス”は個性で“武器”
この日向かったのは都内の美容院。待っていたのは、当日のヘアメイクを担当する波多晋さん。打ち合わせがはじまりました。 富田安紀子さん(32) 「義眼をいれてから、(左目を)前髪で隠さなくなりましたと話していたけど、やっぱりコンプレックスというか」 目を気にする富田さんに、長年世界の舞台で活躍する波多さんは。 ヘアメイク担当・波多晋さん 「コンプレックスって隠すものじゃなくて、出すものだと思う」 「個性なので、それは武器として使うべき」 その言葉に。 富田安紀子さん(32) 「自分っていうのは、ありのままでいいんだな」
■「本番で義眼はずす」と決意するも…
3週間後、フランス・パリ。本番を翌日に控え、富田さんが向かったのはパリ中心部のレストラン。待っていたのはヘアメイク担当の波多さんです。メイク担当者の宮本盛満さんも加わった最終打ち合わせ。そこで…。 富田さんは「義眼をとろうと決意して」と、自信をくれた義眼を本番ではずすと口にしました。 メイク担当・宮本盛満さん 「自分はどっちが心地がいいのですか」 富田安紀子さん(32) 「日本ではやっぱり、つけている方が心地いい。変わった目で見られないし」 「でも、母とか友達とか自分の家族に見せると、すごくきれいな目だよって言ってもらえるのがすごくうれしくて」 ヘアメイク担当・波多晋さん 「それが誰にも負けない個性ですから」 しかし、一方で。 富田安紀子さん(32) 「自分の義眼をはずした顔って、正直好きではないから」 「直前になったらやっぱり、はずしたくないってなるかもしれないし」 まだ、心は揺れていました。