拉致被害者家族の蓮池透さんが会見【全文2】
拉致被害者家族の蓮池透さんが21日午後零時半から東京の外国特派員協会で会見した。 拉致問題をめぐっては、北朝鮮が再調査を約束してから1年半が経過するが、調査結果は公表されないままになっている。拉致問題の解決へ向けて、膠着状態の現状などについて見解を述べるものとみられる。
安倍首相の拉致問題を政治利用について
司会:先ほど最後に最後にちょっと触れた日米関係のことでございますが、もしかしたら過去を清算するっていうことになりますと、北朝鮮に資金援助をするということも考えられますので、それに関しまして外国、特にアメリカが非常に懸念するかもしれないとおっしゃったんでございますが、米国はこの件についてどういうような立場にいると思いますでしょうか。そして、米国がこの問題の解決のために、何をすべきだと思いますでしょうか。 蓮池:私もアメリカに訪れて、当時のアーミテージさんにお会いしたりしたこともありましたけれども、結局アメリカを頼っても、アメリカはアメリカが日本人を助けてくれるっていうことは私はまず考えられないというふうに思いますので。今のところ、日本と北朝鮮のパイプはありますから、確かに側面支援をしていただければありがたいですけど、やはりメインは日本側がやることだと思います。 で、さっき申し上げた経済支援とか、資金援助っていうことに関して、アメリカはそれをやったら北朝鮮はまた核開発、ミサイル開発に回してしまうんじゃないかっていうことを言ってくると思うんですね。それをもって私は干渉と先ほど言ったので、ぜひそこはアメリカにも理解していただきたいし、もしそれが駄目であれば日本政府としては別の支援方法を考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。 司会:Next question? フリー記者:フリーのタケウチと申します。ちょっと私、昨日この本、微細にわたって読ませていただきました。2点についてお伺いします。まず1点目ですね。政治利用について。安倍さんとか、あと中山元参与、こういった右寄りの政治の方が拉致問題を政治利用してきたというふうにおっしゃいまして、結局この拉致被害者を支援することで、右翼が存在理由を見つけてきたんじゃないかなというふうにみえているんですけども、その右翼であったりとかネット右翼の人たちが在日韓国・朝鮮人の方のヘイトまで、こういう問題を利用してするようになってきていると思われるんですが、その状況をどう思われますか。これが1点目。 もう1つが金銭問題についてのことです。国民からのカンパが1億円近く集まっているのではないかということが書いてあるんですけれども、これが被害者に直接渡っていないというお話は本当でしょうか。それから国の補償金が月額13万円で、収入があった場合はそれが減らされると。帰国した方々がそれで食べていけるのかという実態がまったく明らかになっていなかったと思うんですけれども、そこのところをはっきりとお知らせいただければと思います。 蓮池:ご質問ありがとうございます。第1点目についてですけれども、政治利用ということは、これはもう明らかでありまして、この問題を利用してそして反北感情をあおって、そして世の中を右傾化していくっていうのが1つの政治利用だと思うんですけれども、その中で在日韓国、あるいは在日朝鮮の方々に対して高校無償化、朝鮮学校の、朝鮮高校の無償化除外っていうのがありました。あと朝鮮学校に出ている補助金を停止せよというような話はありました。実際行われているところもあります。それは家族会や救う会も支持しておりますが、それは私は言語道断だというふうに考えております。単なる北憎しの八つ当たりにすぎないのではないかというふうに思っています。1点目はそういう。 拉致問題と高校無償化とか、あるいは在日の方々の存在とか、まったく関係がないというふうに私は考えています。もう1つ、いわゆるヘイトスピーチの材料に使われているっていうのも非常に残念なところですね。 それから2点目の金銭問題ですけれども、これは本質的には直接この問題とは関係ないのかもしれませんが、すでに日本のマスコミの方は全員承知、周知の事実であるにも関わらず活字や映像にできなかったのを、私がそれを活字にしたまでのことです。おっしゃるようにカンパは1億円以上集まっているのは、これは間違いないことです。で、その使い道ですけれども家族会の活動費ということに、誰が決めたのかそういうふうになってしまいまして、被害者には1円も渡ってないとは言えませんが、具体的に言うと被害者の子供たちが帰国、来日したときに家族会からお祝い金という名目で数十万円はいただいたことはあります。それ以外は一切もらっていません。 それから支援金なんですけども月額13万円程度、これでは絶対暮らしていけないと思います。その金額っていうのは日本で行われている生活保護というような、似たようなことで。夫婦で26万円ですから家があり、そういうインフラがそろっていればなんとかやっていけるかもしれませんが、働き出すと、収入が増えると金額が減っていくっていうのは弟も翻訳、韓国文学の翻訳をやりまして、印税収入があったら国から今月は支援金ありませんというようなことを通告されたっていうことがありましたので。 私はこの支援金というのは何かといいますと、お金を出すんで早く日本で自立してくださいっていうことなんですね。補助するから。それは私はおかしいと思う。24年間も放っておいたんだったら、これからまとめて日本政府は生活面倒見ますよっていうぐらいのことをやらないと帰ってこないと思いますよ。それから月額13万円っていう金額はあまりにも知られていないんですよね。ですから多くの国民の皆さんは、もう手厚い待遇で被害者はのうのうと暮らしているんだろうなっていう感覚をお持ちだっていうふうに思うんですが、それは絶対あり得なくて。 ですから、弟にしても外食に行けば、税金で食事ですか、いいですねと。旅行に行けば、税金で旅行ですか、いいですねと。もうそういう精神的な苦悩は、苦渋はもう絶えられないっていうことで、弟はもう一切の支援金は返上しています。驚くべきことに今もその方針、変わってないんですね。弟はかろうじて40代で帰ってきましたので、自立してくれって言われてもしょうがない年代だったのかなと思います。でも、もう時間がたっています。それでもう60前後の人が帰ってきて、また月額十何万を渡すので自立してくださいって言うんですかっていうことですよね。繰り返しますけども帰ってきたらその後の衣食住、生活は全て日本政府が面倒見ますということでなければ、なかなか帰ってくる環境にはできないんじゃないかというふうに考えております。 それの、よく新聞報道で、予算措置として3億円を計上したというようなことが出ると3億円という数字だけが独り歩きして、被害者に3億円行くんだというような誤解が生まれてしまうようなところがあるんで。これはもう大きな間違いですね。