松山ケンイチさん『廃棄される皮を革へ』里山暮らしで心動いた“宝もの”とは?|VERY
俳優として活躍する、松山ケンイチさん。2022年から、妻である小雪さんとともに、捨てられていく資源をアップサイクルするプロジェクト「momiji(モミジ)」を始動させています。家族で東京から里山へと移住し、農業に携わりながら山の生態多様性にも目を向けている松山さん。「momiji」立ち上げの背景や、二拠点生活の中で心高鳴らせる瞬間など熱い思いを語っていただきました。 Profile 松山ケンイチ 1985年生まれ、青森県出身。2002年俳優デビュー。以降、映画、ドラマ、CMなどで幅広く活躍。2023年は大河ドラマ『どうする家康』、TBS金曜ドラマ『100万回言えばよかった』などに出演し、主演映画『ロストケア』が公開された。2024年は連続テレビ小説『虎に翼』に出演。12月20日には主演映画『聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンvs悪魔軍団』の公開を控えている。
里山の暮らしから見えてきたこと、進む道を教えてくれた運命の出会い
──「momiji」を始めたキッカケは、なんだったのですか? 鹿、熊、猪……、日本にはいろんな野生動物がいますが、時にその数が増えてしまったり環境の変化などで動物が畑の作物を食べてしまったりして、何十億、何百億円という規模で農林業へ被害を与えていることを知ったことが、直接のキッカケです。その被害を防ぐため、野生動物の個体数調整として有害鳥獣捕獲の取り組みが全国各地で行われています。この対策によって出た鹿肉を食べた時の感動が、大きなキッカケになりました。スーパーで売っている肉とは違う、いろんなストーリーを知ったんです。 鹿を仕留めてその肉を食べる行為は、自然から命をいただくこと。自分たちが生きていくために必要なものを、最初から最後まで知ることができたような気がしたんです。 ──「momiji」の活動は、どのようなことからスタートされたのですか? 有害鳥獣として捕獲された鹿肉は食べることができるけれど、鹿皮は使えずに処分されているという現実です。そこで、仕留めた命のすべてを、無駄にすることなく活かす方法はないのかと考えました。色々探していくうちに、鹿皮を鞣(なめ)してくれる製革業者(タンナー)に出会い、皮が革(レザー)に仕上がったのをみて、日本でもこういうことができるんだと、感動したんです。 そして、もったいないものを、なんとかしたいという思いから「momiji」のプロジェクトが始まったんです。ハンターやタンナーの仕事が減っているという事実もあったので、命のサイクルを活かそうと働く人たちの生きる糧にもなるのではないか、という思いもありました。