災難続くムーディ勝山に起きていた“葛飾の奇跡”──生き別れの父と30年ぶりの再会
電信柱の陰に見つけた“面影”
舞台は、ご存じ「かつしかFM」の収録現場。ロケの合間に一息ついていると、「ムーディ!」とやってきたのは、商店街ではおなじみの顔、とあるスナックのマスターご夫婦である。 「このお父さんとお母さんが、すごく良い人で。ザ・葛飾というか、ザ・下町っ子というか、お節介なんです!」とはムーディの弁。最後の一言は余計じゃないかと眉をひそめた筆者も、次のマスターの台詞で合点がいった。 「今日、お父さん連れてきた!」 (お節介やな!!) 無論、褒めている。 「ロケ先の店のご主人とマスターが知り合いで。『ムーディ君来るんだ? じゃあ、そのときに……』ってなってたみたいで」 マスターに促されるまま辺りを見回すと……居た。 「向こう(父)も恥ずかしいのか、電信柱の陰で、こそこそしてたんですけど、一目で、『あれ、親父や!』って分かった。やっぱり面影ありましたね……写真とかで見てうっすら覚えてたんで」 おかしな物言いだが、その“第一印象”は、(……ちっちゃ!)だったというムーディ。無理もない。何しろ、この瞬間まで、父を見上げたことしかなかったのだ。 最初に口を開いたのは息子のほうで、 「何て呼んだらいいの?タメ口?敬語?ってちょっと困って。『お久しぶりです』みたいな感じで……」 いや、久しぶりにもほどがある。“困った”のは父も同じ。 「ちょっと他人行儀に、『久しぶり』と。あとは、母親の話とか姉や兄の話とか。『元気?』くらいで。収録もあったので……」 気まずい親子の傍らで、マスターご夫婦だけは、「良かった良かった……」と満面の笑みだったそうな。 改めて、再会を果たしてどうだったかと尋ねると、「別に感動的なものでもなかった……」と一歩引いた態度をあくまで崩さぬムーディだったが、 「でも、会えて嬉しいな、良かったなというのはあったし、また会いたいな、孫を見せてやりたいなって」 と“今後”への想いもチラリ。まあ、どちらも本音なのだろう。