【ソフトバンク】〝常勝再建〟に挑む小久保監督 高卒2年目の前田悠伍を「開幕ローテ競争枠に入れる」
ソフトバンクの小久保裕紀監督(53)が新春インタビューに応じ、新シーズンへの意気込みを語った。就任1年目の2024年シーズンは91勝49敗3分けの成績を残し、2位に13・5ゲームの大差をつけて4年ぶりのリーグ優勝。追われる立場となる25年は、打倒ホークスに燃える他球団の包囲網が強まることが予想される。連覇こそ「常勝再建」の証明。最大目標にして、最難関のミッションに挑む鷹の将が、静かに闘志を燃やしている。 【写真】期待の2023年ドラ1・前田悠伍 過渡期だったチームを見事に立て直し、鷹に4年ぶりの歓喜をもたらした。一軍ヘッドコーチ、二軍監督を経て、一軍指揮官として残した1年目の戦績は、圧巻だった。開幕から安定した戦いで、積み上げた貯金は42。シーズン序盤には精神的支柱・柳田の長期離脱がチームに暗い影を落とした。そんな中で有事への対処、伸び悩んでいた若手の積極起用、競争意識の醸成などマネジメントは特筆すべきだった。圧勝Vは過去のこと。就任2年目を迎える新シーズン、目指すはただ一つしかない。 小久保監督=最大目標は連覇。昨年のようにはいかないと思っている。当然、他球団も補強する。昨年までは(3連覇していた)「オリックスを倒せ」だったのが、今度は「ホークスを倒せ」でくる。(ダイエーから)ソフトバンクになって優勝、2位からの日本一が多いチームなので常にそういう対象ではあるけど、現実パ・リーグで昨シーズンあれだけのゲーム差を離して勝つと、当然ながらもっとそういうふうに思われるのは当たり前だと思っている。 王イズムの継承者。連覇の難しさに立ち向かった過去がある。「絶対に慢心するなよ」。現役時代にダイエー初優勝の翌2000年、シーズンを通して当時の王監督が口酸っぱく選手に語りかけた言葉が忘れられない。周囲からのさまざまなプレッシャーと内から出る慢心…。ただ後者に関して、鷹の将は「心配いらない」と言い切る。00年代以降、ホークスは常勝軍団となり、その系譜を受け継ぐ現在の主力陣に絶大な信頼を寄せているからだ。 小久保監督=王監督が「初優勝より100倍難しい連覇」とおっしゃっていた。ただ(今のチームは)昨シーズン4年ぶりのリーグ優勝ではあったけれども、もともと勝っているチームなんでね。ホークスの選手たちは勝つということに関しては、王監督が初優勝された時ほどではない。だから、そこまで心配はしていない。 再び強さを取り戻したホークス。常勝継続のためには、主力を担う若い力の台頭が必須。5年、10年と屋台骨を支える先発投手の出現は望むところだ。昨季終盤に高卒1年目ながら一軍マウンドを経験した前田悠伍投手(19)にかける期待はとりわけ大きい。 小久保監督=前田はもちろん競争枠に入れる。当然よかったら(ローテーションに)入れる。年間通して考えたら、最低7人、できれば8人は(先発投手を)つくらないといけない。(有原、モイネロ、スチュワートがローテ確定で)あと5枠あるわけだからね。 球団考案の「特別育成プログラム」を経て、羽ばたく2年目。大事に育てつつも、突き抜ける才能をセーブすることはない。フラットな目で前田悠を勝負の舞台に上げる考えだ。 小久保監督=6人の開幕ローテに入る競争をしてもらう。それがどこまで持つかはシーズン始まってみないと分からない。中6日で1か月4連続登板は難しいと思うけど、こっちがそれを難しいと決めつけてしまうものでもない。 高卒2年目の投手に開幕ローテを競わせることを明言した言葉には、鷹の未来を託す明確なメッセージが込められている。就任1年目のタクト、用兵、マネジメントにも如実に表れていたが、目先の判断だけではなく「常勝継続に利する判断」を軸としてきた小久保監督。最難関と言える連覇も、鷹の将は通過点と心得ているに違いない。
福田孝洋