ゴア米元副大統領が見つめる『不都合な真実』から「10年後の世界」
●あとは政治的な意思
それでも現実は映画のようには簡単にいかない。トランプ大統領はパリ協定を離脱し、温暖化の進行に否定的な見方をする人たちもいる。 「彼らは空を下水のように使っている。アメリカではそういう企業が影響力を持っている。人々を混乱させるようなキャンペーンをこの“汚染者”たちはやっている」。ゴア氏は燃料会社などを批判する。 ただ、その状況はいま変わりつつあると期待を持って語る。「この危機を否定していた人たちで、実際にある問題だとちゃんと意識を変えてきた人たちもたくさんいる。私に説得されたのではなく、母なる大自然に説得されたのだと思う」。 環境対策への動きは、逆に新興国の方が進んでいるとも指摘する。「特にインド、中国などでは非常に大気汚染に悩んでいる。石油や石炭を燃やす電力を飛び越えて、再生可能エネルギーに飛びつこうという意識が広がっている」。 ゴア氏は、いまの時代に生きる私たちは地球の歴史上の「転換点」にいるという。「いまちょうどここから限界点になる。正しい方向と正しくない方向がはっきりしてくる。あとは政治的な意思が必要。そして、その政治的な意思も再生可能だ」。温暖化から地球を守る取り組みに欠けているものは、政治の決断だと強調した。
◇ インタビューは11月17日から日本公開が始まった『不都合な真実2:放置された地球』のプロモーションでゴア氏が来日した際に行った。さらなる続編となる3作目はあるかとの問いに、ゴア氏は「多分10年後にはもう解決しているので予定はない」と笑顔で即答していた。