東急が「ベトナムの工業地帯」に造る近代都市の姿 日本での「都市開発」経験がベトナムで生きる訳
「ベトナムの経済成長には目を見張るものがあります。ベトナムに足を運んでみれば、誰もがその活気に驚き、多くのビジネスチャンスがあることにワクワクするはずです」 そう語るのが、28歳で日本人初のベトナム公認会計士となり、ベトナム初の日系資本会計事務所(現・I-GLOCALグループ)を創業、現在はホーチミン、ハノイ、東京に拠点を設け、大手上場企業を中心に1000社超の日系企業のグローバルビジネスをサポートしている蕪木優典氏だ。 【画像】東急が開発し、入居率がすでに90%を超えているマンション「SORA gardens Ⅰ」。
蕪木氏の新刊『加速経済ベトナム――日本企業が続々と躍進する最高のフロンティア』の内容の一部を編集・抜粋し、ベトナムビジネスの魅力の一端をお届けする。 ■東急のノウハウを生かしてゼロからまちをつくる 日系企業によるベトナムでの大規模な不動産開発といえば、東急の取り組みが代表的です。 東急はホーチミン市近郊のビンズン新都市(ビンズン省)において、国営企業のベカメックスIDCと合弁会社(BECAMEX TOKYU)を設立し、大規模なまちづくりを展開中です。
ビンズン省はホーチミン市の北部に位置する人口約300万人の省で、年間平均3%以上という安定した人口増加を続けています。ベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)をはじめとした工業団地開発などのおかげで、FDI(外国直接投資)はハノイ市を超え、全国2位になるなど、国際的にも注目を集めている地域です。 ビンズン新都市の開発は旧市街に点在していた省政府機能を新都市に移転して、統合庁舎をつくり、その庁舎を中心として1000haの新都市を形成するというものです。
その過程でビンズン省とベカメックスIDCはまちづくりに関するノウハウ面でのパートナーを探し、100年超の歴史と「ジャパン・クオリティ」を有する東急に協力を依頼。東急もビンズン新都市の開発に可能性を感じ、合弁会社を立ち上げ、一丸となってまちづくりに臨むことになったのです。 ■工業地帯に造った「TOKYU Garden City」 BECAMEX TOKYUがまちづくりをはじめた2012年のビンズン新都市には、広大な敷地が広がるばかりでした。