エミン・ユルマズ氏「PBR革命の次は、PSR革命がやってくる」四季報で見るべき指標はPERとPBRだけじゃない
■2024年の春にPSR1倍割れで注目していた銘柄 たとえば眼鏡屋さんのパリミキホールディングス(7455)だが、『会社四季報』2024年2集春号によると、時価総額は237億円であるのに対し、売上高は2025年3月期予想で514億円もある。ということは、前出の計算式に当てはめると、PSRは0.46倍だ。自己資本比率は73.6%で、現金同等物が104億円もある。しかも有利子負債はたったの17億9700万円だから、86億円以上もネットキャッシュを持っていることになる。財務健全性はピカピカだ。
株価は2023年までほとんど上がることなく、底這いの状態が長らく続いたが、2023年に入ってから一気に評価が高まり、株価が上昇した。正直、株価が全く上がらない時から、この銘柄は面白いと思っていた。とにかくPSRで見ると割安過ぎる銘柄だったからだ。 株価が上昇した理由は、いろいろ考えられる。サングラスが想定していた以上によく売れて業績が続伸したとか、広告費が縮小されて営業利益が回復したとか、インバウンド需要期待などが会社四季報の記事欄にも書かれているが、この銘柄に関しては、これらの材料うんぬんよりも、PSRから見て株価が非常に割安だという点だ。
他の銘柄も見てみよう。自動車用アンテナで国内大手企業であるヨコオ(6800)を取り上げる。 同じく『会社四季報』2024年2集春号の株価チャートを見ると、2021年2月3日に3530円を付けた後、ひたすら下げている。2023年10月31日には、1206円まで下げた。 チャートを見る限り、投資したいとはなかなか思えないのではないだろうか。でも、PSRは0.5倍と割安だ。自己資本比率は64%で、有利子負債が122億円あるが、現金同等物が176億円もあるので、ネットキャッシュが54億円にもなる。実質的に無借金経営である。しかも営業キャッシュフローは73億1200万円の黒字だ。