「ジャニーズに触れないで」と言われ放送直前に降板も 梨元勝さんの芸能ニュース魂
梨元さんが教えてくれた不要だった忖度
当時人気急上昇中だったAKB48は劇場開設期から取材に入れてくれ、信頼関係を構築していました。しかしAKB48のタレントについて週刊誌でスキャンダル報道が出た日、恥ずかしながら私の判断で様子見をしてしまったことがあります。他のメディアがどれぐらい扱うか見定めてから、さじ加減を考えて記事を出そうとしたのです。そのときほど梨元さんに怒られたことはありません。朝電話で叩き起こされ「なにトンチンカンなことやってんだ!」と。文字通り目が覚めました。 ちなみにそのニュースを報じたあともAKB48は変わりなく取材に入れてくれ、秋元康さんと梨元さんの対談も実現しました。忖度なんて意味がなかったのです。梨元さんはそのとき「事務所と仲良くなってもろくなことはないぞ。あいつは敵に回すと面倒くさいやつだと思わせるぐらいでちょうどいいんだ」と教えてくれました。
敵を作っても報じることの勇気
ちなみに梨元さんは、優しく繊細な心配りをする方でもありました。前述のようなことがあった後は、しばらくしてかならず「奥さんと特上の寿司でも食べてきて」とお小遣いをくれるのです。 敵も多かったですが、とてもメリハリのある方でした。今、報じる側にもメリハリが求められているのかもしれないなと思います。芸能の素晴らしい面を報じるのであれば、その影の部分も(報じるべきものについては)ちゃんと報じる勇気を持つことが、結局は芸能というジャンルを大切にすることにつながるのかもしれません。 ある日移動のタクシーの中で梨元さんが寂しそうに漏らした一言が忘れられません。 「芸能リポーターはおれたちの時代でもう終わるよ」 (文:志和浩司)