鳥羽周作がパスタレシピを発信する理由「パスタはプロっぽい味を家庭で再現できる一番簡単なツール」
31歳で料理の世界に入り、瞬く間に外食業界に旋風を巻き起こした、シェフであり実業家でもある鳥羽周作氏。代々木上原の「sio」を起点に、新時代のファミリーレストラン「FAMiRES」や青山のイノベーティブレストラン「Hotel’s」など、さまざまなジャンルの店舗を展開するとともに、YoutubeやXのポストで誰でも簡単に作れておいしいレシピを公開。実際に作ってみた人たちから絶賛の声が寄せられるとともに、SNSで発信した「トバい」がネットミームとして広がるなど注目を集めている。そんな氏の原点であり、頂点でもあるパスタのレシピだけを集めた『帰ってきたら すぐに作れる、食べられる おかえり!パスタ』(CCCメディアハウス)が7月20日に刊行された。そこで氏の提唱するワンパンパスタの魅力から、パスタをおいしく作るコツまで話を聞いた(前後編中の前編)。 【写真】レシピ本『おかえり!パスタ』を発売した鳥羽周作氏 「僕は31歳まで素人だったんです。教師を辞めて料理人を志し、最初の修行先として働きだしたレストランで食べた、白トリュフ風味のカルボナーラに、ものすごい衝撃を受けた。もともと卵料理が好きでカルボナーラには思い入れがあったんですけど、それまで食べたカルボナーラとは全く違ったんですよ。生クリームとかチーズとかではなく、白トリュフの香りと、パンチェッタの香ばしさと塩で食べるカルボナーラなんですが、切れ味がスパッとしている。 いま、うちの店でも同じ味の系譜の白トリュフのカルボナーラを出しているんですが、やっぱりすごく人気ですね。幻冬舎の代表取締役の見城徹さんがうちの店に食べにきてくれたことがあるんですが、見城さんはカルボナーラが好きだっていうんで『自分もカルボナーラ、好きなんで作らせてもらってもいいですか』って声をかけてお出ししたんです。そうしたら『俺が日本で一番好きなカルボナーラに似てる!』って言っていただけて、すごく仲良くなった。そういうことも含めて、カルボナーラには支えられてるなって思います」 もちろん新刊の『おかえり!パスタ』には、カルボナーラのレシピも収録。フライパンひとつ、「ワンパン」で作れるレシピなども紹介されている。 「カルボナーラもおいしいですが、僕が好きなパスタは、無限パスタ2っていう目玉焼きを乗せたやつですね。めんつゆを使って麺を茹でるんですが、これはマジでおいしい。ワンパンパスタっていうのは、茹でている間に麺に味を入れるっていうのが基本的な考え方なんです。それがコンソメなのか出汁なのか、めんつゆなのかで、味が決まる。そこに何の具材を入れるかっていうバリエーション。 この間、ナポリタンを作ろうと思ってケチャップを入れて茹でたら『これ、卵も合いそうだな』って入れてみて、トマトカルボナーラにしたらめちゃくちおいしくって。案の定、Xでレシピを公開したらバズりましたね」 そんな自由な発想で考案された『おかえり!パスタ』のレシピは55種類。毎日一皿ずつ作ってもひと月半以上楽しめるが、どれも再現性の高さと食材の代用がきくことを意識したという。