天国の愛犬とレリーフで「再会」 岩手・北上の斎藤さん、仙台の彫刻家に依頼<ほっとタイム>
「うわあ、そっくり…」。岩手県北上市の会社員斎藤栄樹さん(62)は声を詰まらせた。レリーフには、昨年4月に天国に旅立った愛犬らんの姿。在りし日と変わらない人懐こい笑顔があった。 斎藤さんからの依頼で「再会」を実現させたのは、仙台市青葉区の彫刻家栗田広行さん(50)。動物や仏像が得意なチェーンソーアート歴20年の達人だ。硬いサクラ材に電動の研磨機を駆使し、瞳の輝きや毛並みの質感まで緻密に表現した。 展勝地の花見が好きだったらん。桜柄スカーフと白いコチョウランが思い出を彩る。好奇心旺盛な性格で、釣りに連れて行くとイワシにかぶり付いてはしゃいだ。子どものいない斎藤さん夫婦の「まな娘」。愛情をたっぷり注がれ、大病もせず16年の命を全うした。 「自分はあくまで技術屋。要望に応えるのが仕事」と謙遜する栗田さんに、「100点、いや300点の出来栄えです」と感無量の斎藤さん。リビングに飾って、これからは毎日一緒だ。「お帰り、らんちゃん」。「家族」がそろう年末がやってくる。 (北上支局・江川史織)
河北新報